記事トップ

世界の赤ちゃんは何を食べてる? 離乳食から見えてくる、世界のおもしろ食文化
  • CULTURE
  • 2017.11.23

世界の赤ちゃんは何を食べてる? 離乳食から見えてくる、世界のおもしろ食文化

「離乳食といえば、お粥でしょ〜」なんて考えは大間違い!世界の赤ちゃんはもっといろんなものを食べています!赤ちゃんが生まれて初めて口にする離乳食には、その国の食文化が色濃く表れているといわれます。そして食文化を知ると、その国の歴史や、宗教、国民性がみえてきます。日本人なら「炊きたてのご飯を食べているときが一番幸せ!」なんて方も多いのではないでしょうか。それは、生まれた時から美味しい米を食べて育ってきたから。では、アジアの他の国の人や、ヨーロッパ、アフリカの国々では、何を食べて育ち、どんな料理に幸せを感じるのでしょうか。さぁ、世界の離乳食を通していろんな国の食文化に触れてみましょう。

日本

まずは日本。「日本の食文化なんて知ってる」と思った方も、自分が赤ちゃんの時に何を食べていたかまで、覚えていますか?たいていの人は、自分に子供ができ、離乳食を食べさせる時になって、改めて勉強するようです。他の国のことを知る前に、まずは日本の離乳食をおさらいしておきましょう。

日本では赤ちゃんの首がすわる生後6か月ごろから離乳食をスタートする家庭が多いよう。一番最初に食べさせるものは、もちろんこれ。

10倍がゆといって、水10に対して米1の割合でつくるさらさらのおかゆです。お米がわずかしか入っていないので、おかゆというよりは、スープですね。日本の主食はごはんですから、どの家庭にも必ずお米がありつくるのも簡単。日本ではおかゆからはじめ、徐々に野菜や豆腐、魚をペースト状にしたものなどでバリエーションを増やし、大人の食べるものに近づけていきます。

日本の離乳食の特徴

・旬の素材を、昆布やカツオだしで味つけ
・トロトロ→ツブツブ→固形とテクスチャを徐々に変えていく
・早い時期から魚を食べさせる
・ 手づくりするお母さんが多い

お出汁で煮るなどシンプルな調理法で、素材本来のおいしさを引き出して食べさせるのが、日本流。また「ゴックン期」、「モグモグ期」、「カミカミ期」、「パクパク期」を設定し、あかちゃんの成長に合わせて食材の固さを変えていく几帳面さも日本人ならでは。また、食感を大切にする日本食の特徴も表しています。

魚を食べさせるのも世界的には珍しいのですが、それは海が近く、毎日採れたての魚がスーパーに並ぶ、そんな日本の地理的条件があってこそ。また、市販のベビーフードがメインという国もあるなか、日本では手づくりする家庭がほとんど。こんな離乳食で味覚を育てるわけですから、日本人の舌が繊細になり、和食が世界遺産になるのも納得です。

お次はヨーロッパ、美食の国、フランスの離乳食を見てみましょう。

フランスの離乳食

フランス語で離乳食は「La diversification alimentaire」、直訳すると「食の多様化」。日本語では“乳離れのための食べ物”ですから、目的が全然違います。フランス人にとって赤ちゃんの食事は「いろいろな味を経験し、食事をたのしむための準備」というイメージのようです。

フランス人の主食といえば、バゲットなどのパン。でも最初にあげるのはパンではなく、野菜のピュレ(ペーストのこと)。なぜかというと、パンには塩分が入っているからだそうです。フランスでは1歳になるまでは塩を与えない方がよいといわれるそう。米も、赤ちゃんが食事に慣れてきた8か月頃になってから食べさせます。

フランスの離乳食の特徴

・最初は野菜のピュレ(ペースト)や果物のコンポート
・デザートがつく
・早い段階からチーズなどの乳製品を食べさせる
・基本的にずっとピュレ状
・市販品が充実、全部手づくりする人は珍しい

農業王国であるフランス。野菜は種類が豊富なだけでなく、ミネラル豊富な土壌で育つため味も濃いのが特徴です。フランスでは、いろいろな野菜を柔らかく煮て、ミキサーにかけてペースト状にしたピュレを赤ちゃんに食べさせます。たいていニンジンからスタートし、ズッキーニ、インゲン、ジャガイモ、長ネギなどなんでもピュレに。中にはアーティチョークやパースニップ、黒大根など日本ではみかけない野菜も。

また、フランスといえば、バターやチーズなどの乳製品。赤ちゃんにはフロマージュブランと呼ばれるクセのないフレッシュチーズからあげることが多いようです。さらに、食事には必ずデザートがつきます。それがフルーツのコンポート。日本では果物は果汁にして飲ませたり、すりおろして与えるなど生のまま食べさせることが多いのに対して、フランスでは必ず火を通します。りんごもバナナも洋梨も、煮るかオーブンで焼き、これもなめらかなピュレに。ジャムのようなものですが、離乳食として食べさせる場合は砂糖は入れないそうです。

スーパーやデパートにいくと、野菜のピュレも果物のコンポートもさまざまな種類のものが売られています。美食家でありながら、普段の食事にはあまり手をかけないフランス人。離乳食も、手を抜けるところは抜いてうまく市販品を利用する人も多いようです。

売られている離乳食を見てみると、ハムとチーズのピュレ、洋梨とヤギのチーズのムース、羊肉入りの豆のピュレなどなど、とってもおいしそう!離乳食とはいえ立派なフランス料理です。また、フランスの市販離乳食は、安心して食べられるBIO(有機)のものも多く、値段も手頃。日本ではまだ有機の食品は数も少なく高いのでうらやましい限りですね。

さて、次は日本の常識が全く通じない?!エチオピアの離乳食を見てみましょう。

エチオピア

お次は、東アフリカの角に位置するエチオピア。アフリカ大陸では、ナイジェリアに次いで人口が多く、成長のめざましい国です。エジプト、西南アジア、アラブ、地中海方面など多様な文明が交錯するこの地域では、食文化もさまざまな文化の影響を受けています。エチオピアでは宗教や地域によって食生活も異なることから、この回では首都アディス・アベバを中心とした一般的な離乳食を紹介します。

エチオピア人の主食は、エチオピア原産のテフというイネ科の穀物。これを水で溶いたものを数日発酵させ、クレープのように薄く焼いてつくったインジェラを、ワットと呼ばれる肉や豆のシチューなどをのせて、手で一緒に食べるのがエチオピアの一般的な食事です。ちなみにこのテフ、最近スーパーフードとして注目を集めており、女優グィネス・パルトロウやヴィクトリア・ベッカムなど健康志向の高いセレブを中心に一大ブームを起こしているとか。日本でも輸入されているようです。

そんなエチオピアの赤ちゃんが初めて食べるものは、意外にも日本と同じ、おかゆ。でもお米のおかゆではなく、大麦、小麦、そしてテフなどでつくる穀物がゆです。さまざまな穀類を粉に引き、水、少量の砂糖とともに鍋で煮たアトミットと呼ばれるおかゆや、同様に穀類を水で溶かして鍋で粘りが出るまで煮たグンフォというおかゆを食べさせます。いろいろな穀類を混ぜるので食物繊維やビタミンたっぷり。とっても栄養豊富です。

エチオピアの離乳食の特徴

・主食はアトミットやグンフォ、スープにインジェラやパンを浸したフットフト
・おかずは、ニンジンやジャガイモを柔らかく煮たもの、肉のスープなど
・1歳前後から香辛料も食べさせる
・ たくさんの食材を食べさせることよりも、栄養をしっかりとることが大切
・エチオピア正教では断食があるが、赤ちゃんは関係なし

日本人にはなかなか馴染みのないエチオピアの食生活。アトミットやグンフォといってもどんなものか想像がつきませんね。そこで、エチオピア人と結婚し、京都で子育てをしている方に特別にアトミットをつくっていただきました!それがこちら。

グンフォはYouTubeに作り方がのっていました。(ここで紹介されているのは大人用で最後にバルバリという唐辛子、キベという発酵バターがのっていますが、赤ちゃんには無しで食べさせます)

エチオピアのお母さんたちは、「赤ちゃんにいかに栄養を取らせるか」に熱心で、より高い栄養になるよう穀類の配合を工夫するそうです。というのも、エチオピアでは貧困に苦しむ家庭もまだ多く、毎年600万人に国連による食料支援が行われているほど。しかし、いまやエチオピアは世界トップクラスの成長率を誇る国であり、政府も農業国から工業国へ移行を宣言。鉄道やダム、インターネットなどのインフラも急速に整備されているといいます。これから国が豊かになることで、人々の食生活も変わっていくでしょう。数年後には、赤ちゃんの離乳食もまた変わっているかもしれません。

以上、今回はフランス、エチオピアというふたつの国の離乳食を紹介しました。離乳食を調べることで、その国の食生活だけでなく、文化や考え方、時代背景なども見えてきましたね。世界にはもっともっといろんな離乳食があります。あなたもぜひ調べてみてください!