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EAT&DRINK 2020.10.29 細井 悠玄

学生から愛され続ける京都の名店3選

「京都は学生の街」とよく言われます。実際に京都市の人口の約1割である約10万人の学生が生活しており、これは全国の政令都市と比べてみても突出しています。実は、そんな学生たちによって多くの文化や伝統が生み出されているのも京都の街の特徴です。

一昔前の純喫茶文化、今ならカフェやコーヒースタンドブーム、飲食店以外にもライブハウスやクラブ、アートなど様々なカルチャーに学生の力が影響しています。

そこで今回は、京都の街と学生が共存している証でもある学生たちが愛した名物グルメにスポットを当ててご紹介します。

1. 烏丸今出川の「松之家」

烏丸今出川にかつ丼が有名な定食屋がある。創業昭和12年(1937年)の老舗で、地域の方や学生で連日にぎわう「松之家」です。
数あるメニューの中でも超大盛りのかつ丼がとにかく有名で、過去にチャレンジした学生の猛者たちも多いかと思います。

場所は烏丸新町を上がった東側。

店内はテーブル席のみの昔ながらの定食屋スタイル。かつ丼があまりにも有名ですが、実はうどんなど麺類も豊富で人気です。

さてこちらが噂のかつ丼。通常の790円でも十分量が多いのですが、+200円で大盛りにするとこの特大丼が出てきます。

サイズは通常の約2.5倍でカツ、ご飯ともに尋常ではない量が盛られています。
学生のお客さん達に要望を聞いていくうちにどんどん量が増え、現在の形になったそうですが、一体どんなタイプの学生さんの要望だったのか気になります。
ちなみに私は半分も食べずにギブアップでしたが、味はしっかり美味しいです。

焼そば690円
TVやネットなどを見てくるゲストはかつ丼オーダー率が非常に高いのですが、常連さんには麺類も人気です。中でも香港風の細麺焼きそばはかなりハイレベル。こちらも大盛可能ですが、並盛でも十分お腹いっぱいになります。

京都にはこういった地域の方と学生の両方に愛されるお店というのが点在しています。観光地としての京都とはまた違った、暮らす街京都としての顔を持っているのです。

2. 創業60年、学生に愛され続ける食堂「ハイライト」

京都で学生に愛される定食屋の代表格ともいえる「ハイライト」。とにかく安くてボリューム満点で美味しい。お金がない下宿生などでお世話になった学生は数知れません。
中でもチキンカツは京都のソウルフードの一つと言っても過言ではないほど有名です。

御池や十条にも支店がありますが、一番有名なのはやはり百万遍にある本店。「味よし量よし値段よし」と書かれており、まさにその通り。

店内は1~2階があり、お昼時にもなれば連日満席です。学生だけでなく地元客もかなり多く、京都市民に愛されているのがよく分かります。

チキンカツ以外にも人気メニューや新メニューも多く、アルバイトの山田さんが考案した「山田丼」などユニークな商品も。

ジャンボチキンカツ定食660円
こちらが名物定食。令和の時代に税込みでこの価格はコスパなどという簡単な言葉では片づけられないほどインパクトがあり、お客さんへの愛情が伝わってきます。

かつは二枚。外側はサクッとした⾷感で中はやわらか。味付けは濃すぎず繊細で、飽きのこない美味しさです。

地方から出てくる学生さんに家庭料理のような愛情のこもった食事を安価でおなか一杯食べてほしいという創業者の想いを今も大切にする大衆食堂。学生時代を京都で過ごし、卒業後に京都を離れた多くの方が京都に来た際に再訪するのが多いのも納得です。これぞおふくろの味です。

3. 地球屋

京都のサブカルの聖地と言っても過言ではない名物居酒屋「地球屋」。多くの学生、バンドマン、芸団員などに愛され、店内のそこら中に映画のポスターやライブのフライヤーが貼られた独特の空間が有名です。
そんな地球屋が創業45年の今年4月に突如閉店を発表し話題となりました。学生時代にどっぷり入り浸った方なども多く、閉店を惜しむ声が高まる中、遂に後継者を募集することになり、9月25日4代目店主のもと再オープンしたのです。

以前と同じ四条河原町からすぐの場所。

店内の雰囲気も以前と同じ。一見乱雑に見えますが、これはこれでバランスが取れていて妙に落ち着きます。

そこら中に貼られたフライヤー、チラシ、ポスター、写真などから、…その当時の京都を感じることができます。

地球屋皿うどん 600円
写真だと伝わりづらいですが、大皿で提供するのが地球屋スタイルでインパクト大。柔らかいうどんと優しい味わいが、お酒を飲んだ後にはたまらない。

冷製よだれ鶏 600円
一人だとこれだけでお腹一杯になりそうなぐらい盛りだくさんなよだれ鶏。これで600円というリーズナブルさも地球屋ならでは。

揚げチキン梅しそチーズ 350円
揚物が多いのも学生人気の理由のひとつ。30年以上変わらない地球屋メニューがこうして復活したのは嬉しいですね。


京都の中心街である四条河原町界隈はスクラップ・アンド・ビルドを重ね常に街の風景が変わり続けています。その中でこうしたノスタルジックな居酒屋の存在は、色褪せることがないのかもしれません。

最後に

今回は「学生時代」というテーマでおすすめのお店を紹介しました。いずれのお店にも共通しているのは、親元を離れ京都で暮らす学生たちに対する愛情が深いということでしょうか。
京都は全国から学生がやってきて、卒業と同時に多くが去っていくという独特の街なので、学生時代を過ごした方々の思い出の地となっており、その欠片が地球屋のフライヤーのように街の片隅に残っていることもまたおもしろいのです。
そしてこの街で生活している多くの人もそういった京都の風景を大切にしたいと思っており、京都人の懐の深さが垣間見える瞬間でもあります。


1軒目 松之家
京都市上京区室町通今出川上る裏築地町96
2軒目 ハイライト百万遍店
京都市左京区田中門前町94
3軒目 地球屋
京都市下京区司法河原町下ル三筋目東入ル 招徳ビル 1F
※価格等の情報は取材当時のものです。

細井 悠玄

ほそい ゆうと

ニュースサイト京都速報編集長

龍谷大学法学部卒業後、本と京都が好きという理由で2002年地元の出版社に就職。グルメ情報を中心に扱う月刊誌の営業・制作を経て、2014年に京都初の男性版情報誌の編集長として創刊を担当。渋酒場、ネット未掲載の名店、一流シェフの最後の晩餐飯、など「使える街のネタ」を特集し地元京都の書店で3号連続ベストセラーを達成。その後、後任に編集長を譲り独立。「ニュースサイト京都速報」を立ち上げ取材の日々を過ごす。