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CULTURE 2020.10.22 石原 かんな

【がんばり過ぎない食育】お箸を正しく使えるようになる工夫

お箸の使い方を学ぶには"遊びを通した練習"が効果的!

皆さんは「お箸」を正しく使えているか自信がありますか?

2013年に「和食」が世界無形文化遺産に登録され、和食を保護し継承していく動きが広がりました。その和食を食べる基本となるのは「お箸」ですよね。お箸をきちんと正しく使うことで美しく和食をいただくことができると言えます。

しかし、平成22年度児童生徒の食事状況等調査報告書(※参考1)によると、実は小学5年生の約55%、中学2年生の約60%のみが正しいお箸の持ち方をしていることがわかりました。つまり、半数弱の子どもは正しくお箸を使えていないということ。その原因は幾つか考えられますが、「お箸の使い方を親やまわりの人から教えてもらう経験が少ない」ということもひとつの原因ではないでしょうか。

お箸練習の始め時は、子どもが食事をスプーンやフォークで上手に食べられるようになった時と言われています。お箸に興味を持ち始めるのも大体この頃(2~3歳頃)ですね。とは言え、子どもの頃からいきなりお箸を上手に使いこなすのは難しいもの。そこで、今回は楽しみながらお箸を使えるようになる工夫を紹介します。

お箸の持ち方は、その気になれば何歳でも直せます。お箸の持ち方に自信がないお母さんやお父さんも、お子さんと一緒にチャレンジしてはいかがでしょうか。

※参考1(https://www.jpnsport.go.jp/anzen/school_lunch/tabid/1491/Default.aspx

■まずはおさらい!正しいお箸の持ち方って?

子どもに教える前に改めて確認したい「お箸の持ち方」。まずは大人が実践してみましょう。
【1】 上の箸を人さし指と中指で挟み、親指を添えて鉛筆のように持ちます。持つ位置は箸の長さを三等分し、箸先から2/3のところです。

【2】 下の箸は、上の箸の下側に差し入れ、薬指で固定します。

【3】 挟む時は、箸の先端がきちんとぶつかるように、上の箸を動かします。

■遊びを通して練習しよう!「魔法のお箸」の作り方

まずは「魔法のお箸」の作り方から。魔法のお箸とは“子どもが持ちやすいお箸”のこと。子どもがお箸を持つ時には、真ん中に中指を挟むのに苦労することが多いとか。そこで、このお箸を使ってまずは中指を挟んで持つという練習をしていきます。
材料として、割り箸、マスキングテープ、セロハンテープ、紙類(折り紙、新聞紙など)を用意します。

※子ども用2膳と大人用1膳を作るために3膳用意しています。

最初にお箸の長さを調整します。持ちやすいお箸の長さは、手の長さ(手首から中指の先)の1.2倍ぐらいの長さとも言われます。一般的には2歳で13cm、3歳で14cm、4歳で15cm、5歳で16cmぐらいが目安。小学1・2年生では17cm、3・4年生で18cm、5・6年生で19cmぐらいです。ハサミやカッターなどを使ってお好みの長さに切りましょう。
次に、手を持つ方の先端に紙(新聞紙など)を小さくちぎって丸め、セロハンテープでくっつけながら太さを調整していきます。お箸を使う時に子どもの中指がちょうど入るくらいの太さにするのがポイントです。私は新聞紙で形作った後に細長く切った折り紙を巻きつけて、マスキングテープを巻いた際に透けてもキレイに見えるようにしてみましたが、この工程は割愛しても大丈夫です。

最後に好きなマスキングテープで外側をぐるぐると巻いて固定すれば完成!可愛らしい「魔法のお箸」のでき上がり。親子で一緒に遊ぶため大人用も作ってみました。

■大きなお口をあけた動物の顔が可愛い「魔法のお箸おもちゃ」

次は「魔法のお箸おもちゃ」の作り方。動物がガバッと口をあけた顔の容器を作ることで、その口(穴)にお箸でつかんだ物を入れて遊ぶことができます。
用意するものは、柔らかいフタがついたタッパー型保存容器と色画用紙(折り紙でもOKですが画用紙の方が扱いやすい)、ノリ(またはボンド)、ハサミ、カッターです。

※800mlの横長(左上)と400mlの正方形(右上)の容器を使用しました。

まずは動物の顔を決めます。例えば、ヒヨコやウサギなど子どもが好きそうな動物なら何でも大丈夫です。その動物の口が開いている様子をイメージしながら、色画用紙で顔を作ってフタにノリで貼り付けます。様々な色を使えば可愛らしくできますし、1~2色ぐらいで作って目をペンで描いても簡単にできます。最後に口の部分をカッターで切り取るだけで完成です。
ポイントは穴の大きさ。筆者は、横幅7cmぐらいの穴のライオンと、4.5cmぐらいの穴のカエルを作ってみました。穴の大きさが大きいほど遊ぶのは簡単で、小さいほど難易度が上がります。

■フェルトボールや毛糸などを使って遊んでみよう!

では、「魔法のお箸」と「魔法のお箸おもちゃ」で遊んでみましょう!
まずは手始めとしてフェルトボールや毛糸を短く切ったものを準備します(筆者はどちらも100円ショップで手に入れました)。これをお箸でつかんで動物の口にどんどん入れる練習です。

ポイントは、持ち方を時々確認して教えてあげること。それ以外は好きなように遊べばOK!時間内でどれだけの数を穴に入れられるかなど親子で競争するのもいいですね。
息子は真剣な顔でフェルトボール入れに取り組んでいましたよ。毛糸は少し難しかったようですが、楽しそうだったので良しとしましょう。こうやってお箸に少しずつ関わっていくことが大切だと思います。

フェルトボールがスムーズに運べるようになったら、ゆでた枝豆や乾燥した小豆のような豆類、ちょっと大きめのビーズなどにも挑戦してみましょう。わざわざ新しい材料を買わなくても、お家にある小さなものを使って遊ぶことができますよ。小さく切ったスポンジや粘土などもオススメです。

ただし、お子さんがお箸を使うのはまだ難しそうだったら、スプーンから始めてみても。焦らず、楽しく取り組んでくださいね。

■“4本指”を使うお箸が上手になるために“3本指”を使う練習を!

実は、お箸を使うためには前段階でスプーン操作が必要になります。お箸の下の部分はスプーンと同じく食べ物をすくう役割をしますので、まずはお箸で4本の指を使う以前に3本の指を使いこなせるようになることが大切です。
お子さんは3本の指(親指・人さし指・中指)でしっかりスプーンを持つことができていますか?今一度確認してください。
そこで、「お箸はまだちょっと早いかも?」と思われた方は、指3本を使ってできる訓練(遊び)をしてみませんか。例えば…
●コインを貯金箱に入れる
●粘土を使ってビーズをつまみ出す
●クレヨンを3本指で持ち、ぐるぐると円を描く などがオススメです。

■みんなの疑問「リング付きの補助箸は使わない方がいいの?」

いわゆる「しつけ箸」や「矯正箸」というものですね。もちろん諸説あります。が、筆者は使ってもよいと思っています。
というのも、私の子どもは普通のお箸を使うのを最初嫌がったものの、補助箸は「使いたい!」となりました。子どもがお箸を使って気持ち良く食べられるなら絶好のチャンスだと思いましたし、訓練という以前に「できた」いう感覚や、自信をつかむために補助箸は有効だと感じています。

ただし、必ずしも補助箸は必要なものではありません。普通のお箸を使いこなすお兄ちゃんやお姉ちゃんに憧れたり、負けん気の強いお子さんであれば最初から普通のお箸を使いたがるかもしれません。それはそれでラッキーなことだと思います。個性に合わせて使い分ければよいのではないでしょうか。

もし、補助箸に愛着がありすぎて、なかなか普通のお箸に移行しない場合には外食やお弁当などで普通のお箸を使うような工夫をしたり、手作りのお箸を作ってあげるのもよいかもしれませんね。
私は、息子が好きな新幹線(風)のお箸を作りました。木製のお箸に油性ペンで色をつけて窓やラインをちょっと描いたぐらいのものですが、喜んで使ってくれています。

子どもがお箸を正しく使えるようになるのは5~6歳頃が目安ですが、もちろん個人差があります。
まず、お箸を使いこなすには手先が器用になることが重要です。前述の「魔法のお箸」や「魔法のお箸おもちゃ」などで練習するのはもちろん、粘土や砂遊び、シールをめくって貼る、小さなブロックを使うなど、指をたくさん動かすことが上手な箸使いにつながると私は信じています。

和食文化を象徴する「お箸」を美しく使える大人を目指して。

美しい箸使いは、食事を上手に食べられるだけではなく、その所作も美しい印象を与えますよね。一方、正しい箸使いができないと食べ物を上手くつかめずにこぼしたり、汚い食べ方に見えてしまいます。大人になってから公の場で恥ずかしい思いをしないためにも、子どものうちに正しくお箸を持てるようになれればいいですね。
そんなに簡単にはいかないかもしれませんが、お母さんやお父さんが今より少し意識を高め、上手にお箸を持つための“遊び”を取り入れてくださったらとても嬉しく思います。一緒に頑張っていきましょう!

石原 かんな

いしはら かんな

ライター・エディター

京都育ち、大阪在住のフリーライター。少しお調子ものでマイペースな男児の母。人物取材、グルメやファッションの取材撮影、企業や学校関係など分野は問わず活動中。美味しいもの、人生を楽しむこと、一生懸命に生きるひとに興味津々。世界中でいちばんお気に入りの場所は、京都の「鴨川べり」。