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TRIVIA 2018.01.22 石原 健吾

日本のカレー人気の秘密 ~ カレーの真実 ① ~

1月22日は「カレーの日」だそうです。全国の栄養教諭・学校栄養職員で組織する「全国学校栄養士協議会」が1982年に定めた記念日で、この日の全国小中学校の給食はカレーに決められているとのこと。

カレーの魅力のひとつ「辛さ」

給食でも人気メニューのカレーですが、何がそこまで日本人を惹きつけるのでしょうか?
カレーと言えばインドを思い浮かべますが、日本のカレーと、インドのカレーは全く違います。日本にカレーが伝わったのは明治初期の頃、インドからではなくイギリスから伝わったのだそうです。
みんなが知っているカレー特有のとろみは小麦粉によるものですが、これはイギリス人のアレンジです。そして、そこに鶏がらや肉、野菜などに由来する「旨味」が加えられたのが日本のカレーなのです。

その後もカレーは日本独自の進化を遂げます。昭和初期には、煮込んだ野菜やお肉に入れるだけで簡単にカレーがつくれる「カレールウ」が登場、昭和43年にはごはんにかけるだけの「レトルトカレー」が発売されました。カレーは失敗しにくく、いつでも美味しい日本のポピュラーフードに発展していったのです。

カレーにはおいしさの構成要素が全部入っている

カレーのおいしさの構成要素を食品栄養学の視点で見ていきましょう。
まず、野菜や肉を炒めることで茶色に色が変わる「メイラード反応」は、香ばしさを引き出し、おいしさを生み出す要素です。玉ねぎをアメ色になるまで炒めたらカレーはおいしくなる、これはカレー好きの一般常識ですよね。
そして、料理の満足感を高める「油」。油は、食品に滑らかな食感を与えると共に、舌の受容体を刺激して美味しさを引き立てます。さらに食べ物が胃の中に留まる時間を長くして、満腹感を持続させます。
カレーと認識させる「香り」も、おいしさには重要です。約20種類のスパイスをバランスよく調合した強い香りが「カレーを食べた」という気分をつくります。
他にも砂糖、塩、旨味などなど、カレーは味覚と嗅覚からヒトの感覚を強く刺激し、おいしさを感じさせる料理なのです。

さらにカレーは炭水化物によく合う

カレーはやっぱり、ホカホカご飯にかけて食べる「カレーライス」が最高ですよね。カレーうどんやカレーパンなども人気ですし、インドカレーでは「ナン」に付けて食べるのも一般的です。そしてこれらは全て「でんぷん」という炭水化物です。
でんぷんは、小腸内で消化吸収されるとブドウ糖に変化します。ブドウ糖は細胞が生きていくうえで重要な栄養素ですので、人間は「生理的な喜び」を強く実感できるのです。つまり、カレーライスは体全体で喜びを感じられるメニューなのです。

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バランス良く調合されたスパイス、メイラード反応による香ばしさに加えて、油、旨味、砂糖、塩など、おいしいと感じる要素はカレーには全て含まれているうえに、炭水化物にも合うことがカレーの人気の理由です。

石原 健吾

いしはら けんご

龍谷大学農学部准教授、農学博士

2000年京都大学農学研究科修了。椙山女学園大学管理栄養学科准教授を経て、現職。専門は栄養化学、スポーツ栄養学。著書に「生化学・基礎栄養学」、「エッセンシャルスポーツ栄養学」他。