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ウイスキーは奥が深い -第1弾-
  • EAT&DRINK
  • 2018.09.07

ウイスキーは奥が深い -第1弾-

サントリー「白州12年」、「響17年」が販売中止へ

2018年5月、日経新聞の朝刊にこのような記事がでた。
ウイスキー市場は、1980年、4500万ケース(約40万キロリッター)のピークから年々下降線をたどり、2008年にはピーク時の1/5にまで落ち込んだ。その後、新しい飲み物としてハイボールが飲まれ始めたのをきっかけに上昇に転じ、2017年16万キロリッターまで持ち直した。Ageを記したウイスキーは、そのAge以上の原酒を使用することが義務付けられているので、白州12年に使用する原酒は、2006年以前に白州蒸留所で蒸留したものでなければならない。市場が低迷した2000年代前半の10年間、12年後に市場が倍になると予測し、生産数量を倍にするという判断は不可能であったのだろう。

それでも、サントリーでは将来に備え、2013年に山崎に4基、14年に白州に4基の蒸留釜を増設してきた。でも、そこから生まれた原酒が12年、17年の齢を得るには-------。

ウイスキーの誕生

中世ヨーロッパの錬金術が、近代科学の基礎を創ったといわれている。不老不死を追い求めた結果、蒸留器が発明され、そこから人類のエネルギーを復活させるもの、生命の水(Aqua vitae)が発見された。12世紀にヘンリー2世(イングランド)のアイルランド遠征記にウイスキーらしきもの(アイリッシュ)が彼の地にあったことが記されているが、アイルランド語でAqua vitae はUsque baugh(ウスケボー) 、そこから Whiskie → Whisky という言葉ができた。 15世紀には、スコットランド王室にウイスキー(スコッチ)の出納記録が残っている。19世紀にはアメリカ大陸に渡り、バーボン、カナディアン、20世紀初頭に日本(ジャパニーズ)へと広がった。これを世界の五大ウイスキーと称している。余談だが、バーボンはWhiskey という綴りを使うのだが、西部開拓時代に貴重品であったために、いつも鍵(key)のかかる場所に保管されていたのが理由とか--------。

ウイスキーと水

水は不思議な物質。物質の三態、固体・液体・気体で重いのは液体で4℃のとき。水のあるところ全て、最後に凍るのは水底、それ故、生命が存続できたともいえる。

ジュースに氷を入れて飲むと氷はジュースに浮くが、比重の低いウイスキーでは氷は沈んだままで「On the Rock」が楽しめる。

サントリーの山崎、白州両蒸留所は、よい水を求めた結果の立地である。大麦の栽培に使用される水以外は、製麦の水、仕込の水、貯蔵の割水、ブレンドの水、度数調整の水、全て蒸留所で汲みあげる天然水である。だから、「山崎」には「山崎の天然水」、「白州」には「白州の天然水」を使ってほしい。できれば、氷もそれで-------。

太田 裕見

太田 裕見

おおた ひろみ

大阪府出身。京都大学農学部食品工学科卒業。サントリー株式会社入社後、清涼飲料水や冷凍食品等の様々な商品の開発や製造管理に携わる他、海外勤務(シンガポール)や中国での事業立上げにも従事。その後、サントリーウエルネス株式会社では健康食品(特定保健用食品)の開発・申請、サントリー食品インターナショナル株式会社では顧問を務め、現在、国立健康・栄養研究所にて招聘研究員として活動中。