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ドイツのソーセージとビールのお話 ー第2弾ー
  • EAT&DRINK
  • 2019.08.02

ドイツのソーセージとビールのお話 ー第2弾ー

カレーヴルストの発祥地をめぐって:ルール地方 vs. ベルリン

日本のあるメディアがドイツのB級グルメとして「カレーヴルスト(カレーソーセージ)」を紹介していた。その番組では南ドイツ・バイエルンの州都ミュンヘンの老舗ソーセージ屋さんのものが取り上げられていた。「そんな馬鹿な」と私は思った。というのも三十年ほど前、初めて南ドイツを訪れた時にはカレーヴルストの存在を見たことも聞いたこともなかったからである。

カレーヴルスト

私は数年間ドイツのルール地方に住んでいたことがある。この地方の名物はもちろんカレーヴルスト。街を歩いていると至る所で売っている。ということで、カレーヴルストはルール地方のものだと思っていた。また地元の人からもそう聞いていた。ルール地方の炭鉱町ボーフム出身のドイツを代表するロック歌手Herbert Grönemeyerは „Currywurst“ の曲を歌っている。ところが私の前に強敵が現れた。ドイツの首都ベルリンである。なんとベルリンはカレーヴルストの発祥地を名乗っているのだ。まさかと思ったが、しかしベルリンとルール地方には意外と共通点が多い。例えばことば。ベルリン方言とルール地方のことばに類似点が多く見られる。カレーヴルストもそうなのか。かつてのドイツ首相シュレーダー氏(現メルケル首相の前任者)の大好物もカレーヴルスト。彼は何とベルリンにあるカレーヴルストの店をほぼ全て掌握しているという。

ベルリンにあるカレーヴルストの店

このカレーヴルスト、ある統計調査によるとドイツの社員食堂では26年間連続第1位の人気メニューということである。そう考えるとカレーヴルストは今ではドイツ全土で食べられていることになる。ここ数十年ほどの間に広まったのかもしれない。ちなみに第2位はシュニッツエル(日本のトンカツ・カツレツのようなもの)である。
カレーヴルストは手軽に自分でも作れるファーストフードであるが、実は奥が深い。熱々のソーセージにかけられるソースには秘伝のものが多い。トマトソースをベースに自分の好みの味に整え、太めのソーセージを焼いてぶつ切りしたものにカレー粉をふりかけると出来上がり。一度試して見てください。おいしいですよ。

佐藤 和弘

佐藤 和弘

さとう かずひろ

龍谷大学法学部教授

専門領域は応用言語学で、存在する言語とその環境との間の「相互作用」を研究するエコ言語学、言語(教育)政策、言語教授法学(ドイツ語) 
論文として「多言語・多文化共生社会と言語政策 -ドイツの少数言語ソルブ語の復興・維持と言語教育」(『ドイツ語教育9』日本独文学会ドイツ語教育部会 2004年)、「ドイツ語教育と環境意識の構築」(『Brücke 21号』 2018年 京都外国語大学)など。