“賞味期限”って絶対守らないといけないの?”トクホ”ってそもそも何?
皆さんがもっと若い頃。あまり何も考えずにスーパーでお買物をしていませんでしたか?でも、お子さんがいらっしゃるお母さんやお父さんは、お子さんが離乳食を食べるようになり、色んなメニューを食べられるようになればなるほど、「どんな食品なら安全?」「避けた方がよい添加物ってあるのかな?」などと考えすぎてモヤモヤした経験があるのではないかなと思います。お子さんがいらっしゃらなくても、ご自身やご家族のカラダが気になって、以前より食品選びについて考えるようになった方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では最低限押さえていたい【食品表示】の知識や、できれば避けたい【食品添加物】のこと、【遺伝子組み換え食品】や【健康食品】などについて、難しいうんちくはできるだけ割愛し(少しは入れますが)、食品選びで最低限知っておきたいことをポイント別に紹介します。ぜひ、今日からのお買物に役立ててくださいね。
まずは「どっちがどっちだったっけ?」と考えてしまいがちな「消費期限」と「賞味期限」。改めておぼえておきましょう。
◆消費期限:「安全に食べられる期限」のこと
主に食肉やお惣菜、お弁当など品質の劣化が早い食品に表示されます。食品によって異なりますが大体は5日以内のことが多いようです。表示をよく確認し、この期限を過ぎたら食べないようにしましょう。
◆賞味期限:「美味しく食べられる期限」のこと
缶詰や加工食品、お菓子など品質が比較的長く保たれる食品に表示されます。消費者庁のウェブサイトにも(※参考1)「期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありません」とされています。ただし、本来の味や食感が損なわれている可能性もあるので早く使い切りたいですね。
なお、これらの期限は、未開封の状態で保存方法に表示されている方法で保存した場合の期限です。開封後や保存状態によっては、期限前でも品質が劣化していることがありますので注意しましょう。
※参考1(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/qa/common_02/)
食品によく書かれているちょっと紛らわしい表示。代表的なものをご紹介します。
◆「無糖」と「砂糖無添加」
「無糖」は、厚生労働省が定めた栄養表示基準で、その食品100g当たりの糖分含有量が0.5g未満の場合。
「砂糖無添加」(砂糖不使用も同じ)は、砂糖は使われていないものの、ブドウ糖や果糖、乳糖が含まれていることも。
◆「糖分控えめ」と「甘さ控えめ」
「糖分控えめ」は、厚生労働省が定めた栄養表示基準で、その食品100g当たりの糖分含有量が5g以下(飲料は100ml当たり2.5g)の場合。「低糖」「糖分軽め」も同じです。
一方、「甘さ控えめ」は栄養成分と関係なく、商品の味の表示に過ぎません。
◆「低塩」「減塩」と「うす塩」
「低塩」とは、食品100g当たりのナトリウム含有量が120ml以下の場合。「減塩」は、従来品などと比較したナトリウムの低減量(または割合)を記載したもの。比較対象によって塩分が異なるため、塩分を気にしている方は栄養成分表示を確認しましょう。
一方、「うす塩」はナトリウム含有量とは関係なく、商品の味の表現に過ぎません。
さて、「旬」の食材を使うメリットとは何でしょう?
◆旬の時期に最も味が良くなる
◆栄養価が高い
◆その季節に人の体が必要としている栄養素を多く含む
◆価格が安定し、安価で手に入る
皆さんは、「旬のものは新鮮で美味しいし、安く手に入る」と思っていませんか?もちろんそれも大正解なのですが、実はその季節に人間が必要とする栄養素を多く含んでいるという特徴もあります。
例えば、豊富な水分を含むきゅうりやなす、トマトなどは夏の体を冷やしてくれます。秋には、夏に消耗した体に滋養を与える脂ののった魚介や、実りの時期を迎える果物や穀物など糖質の多い食材で冬の寒さに耐える脂肪を蓄えます。ビタミンが多く含まれる葉もの中心の冬野菜は体の抵抗力を高め、風邪などの予防に役立ちます。
また、自然に逆らわずにその食材の成長に適した季節に栽培しているため、生育も早く農薬などの使用量が少なくて済むという利点もあります。つまり、旬の食材を選ぶことは安心で健康な食生活への近道となるのですね。
今では多くの野菜や果物が年中出回っていますが、旬の食材を積極的に摂っていきましょう。
◆野菜や果物選びのポイント
・産地がわかり、できれば旬や地元産のものを選ぶ
・カット野菜より丸ごと買う
輸入品は現産国名が表示されています。価格が安いのが魅力ですが、輸送中に鮮度や栄養価が下がっているものもあります。また、収穫後に防カビや防腐などを目的に農薬を散布しているものも。とはいえ、輸入品でしか買えない美味しい食品もたくさんありますよね。ですので、輸入品と国産品から選べる食品については、安心で新鮮、持産地消の観点から国産のものを選ぶのもいいですね。
カット野菜は、製造過程で何度も洗浄されてビタミンやミネラルが流出しています。また、空気に触れた切断面からも栄養素は失われやすいので、可能な限りは丸ごと買うのがオススメです(でも、カボチャやキャベツなどは丸ごと消費しづらいこともありますから、あまり無理のないように)。また、レンコンや長芋などのカットされた根菜類で色が鮮やかすぎるものは漂白剤を使用していることもありますので注意しましょう。
◆お米選びのポイント
・精米したてのものを買う
・季節に合わせて消費できる量を
品種や産地ばかりに目がいってしまいがちなお米ですが、精米すると表面の脂肪分が酸化して味が落ちてしまうので、「精米年月日」が新しい物を選びましょう。価格はキロ数の多い方が割安ですが、湿気の多い梅雨や真夏は2週間程で消費できる少量のものを、冬なら2ヵ月程でなくなる量を買うなど調整すると美味しくいただけます。
また、こだわりのお米屋さんで買うのもよいでしょうし、農家がインターネットでお米を販売していることもあります。毎日のように使うお米ですので、今一度、お米選びについて見直してみるのもいいですね。
◆魚介類選びのポイント
・旬のもので小型の回遊魚(アジ・イワシ・サバ・サンマ・カツオ・ブリなど)がオススメ
・原産地表示をしっかりチェック
魚介類には、「原産地(漁獲水域名)」や「冷凍or解凍」「養殖」の表示が義務づけられています。
旬の魚は近海で獲れるため、あまり人の手が加わらずに素早く小売店に届きやすく、新鮮で美味しく食べられます。群れをなして季節ごとに移動する回遊魚(アジやイワシ、サバ、サケ、サンマ、タラ、トビウオ、カツオ、ブリなど)は、近海魚や養殖魚と比べて安全性が高いとされています。
なお、魚介類に寄生した「アニサキス」による食中毒については厚生労働省も予防を呼びかけていますが、これには「新鮮な魚を選ぶ」こと、そして「冷凍」や「加熱」が有効とのことです。
カルシウムやタンパク源として、育ち盛りの子どもにぴったりなのがお魚です。スーパーでずらりと並ぶ旬の魚は(種類にもよりますが)焼くだけ・煮るだけでも美味しいもの。積極的に使いたいですね。
◆お肉選びのポイント
・あまりにも安い肉は避ける
牛肉・鶏肉・豚肉とあり、日本各地ではブランド肉も登場しています。これらは比較的安全性が高いと言えますが、生産量もわずかで価格も高いもの。細かく言いだすとキリがありませんので、まずはあまりにも安い肉は避けることから始めましょう。
牛肉で肉本来のうま味を味わうなら霜降り肉より赤身肉を、鶏肉は「地鶏肉」や「銘柄鶏」が比較的安全性が高く、不安物質の心配も少ないのでオススメです。
筆者は、安い輸入品より国産のものを選ぶ(国産が絶対良いとは言い切れないですが)ように心がけています。
◆食品添加物の少ないものを選ぶ
◆安全とのバランスが取れた適正価格を見極める
◆パッケージがないものは信頼できるお店で買う
多くの加工食品には腐敗防止や着色・甘味付け・長期保存などの目的で食品添加物が多く使用されています。つまり加工食品の過度の使用は食品添加物を多く摂取してしまうことになります。
食品添加物の少ないものは価格も高い傾向があるように思いますが、同じ用途の商品が並んでいれば、お財布事情と相談しながら、なるべく食品添加物の少ないものを選ぶのもひとつの手ですね。
そして、その商品がどこでどのように作られたかに興味を持ち、なぜ割高なのかを理解することも大切だと思います(なかなか難しいですが…)。
また、パックのお惣菜や量り売りなどで包装されていないものは原材料や食品添加物の表示義務がありません。食材にこだわりを持つお店で買えればなお良し!です。
以下のような食品添加物は、日本では安全性が認められているものの、海外では使用を禁止されていることなどを考えると積極的に摂取しない方がよいとも考えられます。
◆タール系色素(赤色104号・106号)
ソーセージやかまぼこ、菓子類などに使用されている着色料のひとつ。発がん性が心配され、使用が禁止されている国もあります。
◆リン酸塩
ハムやソーセージ、カップ麺などに使用されています。肉などの水分を保ち、柔らかい食感を出したり、防腐や色を鮮やかにするなどの効果があります。しかし、鉄分の吸収の阻害や、体内のカルシウムと結合して排出されることによりカルシウム不足を招くなどのおそれがあります。
◆防カビ剤(イマザリル、OPP、TBZなど)
グレープフルーツやオレンジなどの輸入かんきつ類に使用されています。もともとは農薬として使われていたもので、発がん性が疑われています。
しかし、全ての食品添加物を避ける生活は、精神的にも金銭的にも負担になりかねません。ですので、よく使う食品から「添加物無添加」や「国産」と書かれたものに切り替えるなど、できることから試してみてはいかがでしょうか。
そもそも遺伝子組み換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などに組み込む技術により作られた作物や、使用して作られた食品のことです。「遺伝子組み換え食品である」ことの表示が義務づけられているのは大豆やトウモロコシ、ジャガイモなどの8作物と、豆腐(油揚げ)や納豆、味噌、豆乳などの33加工食品です。
ポイントとしては以下のふたつ。
◆日本では、安全性が確認されているものについてのみ、食品・資料としての流通が認められている
◆遺伝子組み換え食品が流通したのは昨今からで、人体への影響はまだよくわからない
なお、厚生労働省医薬食品局食品安全部によると、平成26年4月10日現在で安全性審査を経た遺伝子組み換え食品は290品種、添加物として17品目あるとのこと(※参考2)。
遺伝子組み換え食品を原材料に使用している場合は「遺伝子組み換え」、組み換えたものと組み換えでないものを分別していないものを原材料に使用している場合は「遺伝子組み換え不分別」との表示義務があります。「遺伝子組み換え不分別」は要するに、「遺伝子組み換えである可能性が高い」ということです。
※参考2(https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/list.pdf)
近年よく見かける健康食品ですが、実は「健康食品」という用語には法律上の定義は有りません。
ここで皆さんにおぼえていただきたいのは「保健機能食品」というものです。一般食品と医薬品の間にある、一定の機能を持った食品群のことです(※参考3)。
◆有効性や安全性について「保健機能食品制度」により定められた基準を満たしたものを「保健機能食品」と呼ぶ
◆「保健機能食品」には、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つがある
1.特定保健用食品(トクホ):国が科学的根拠(「お腹の調子を整える」「コレステロールの吸収を抑える」など)を審査し、保健の機能表示を許可したもの。許可マークあり。
2.栄養機能食品:ミネラルやビタミンなどを含む食品のみが対象。国への許可申請や届出は必要なく、国が定めた基準に適合していれば、「栄養機能食品(○○)」と、規定の栄養成分機能を表示できる。許可マークなし。
3.機能性表示食品:企業が科学的根拠を消費者庁に届出したもの。製品には「届出番号」が表示されている。
筆者の考えでは、できれば「保健機能食品」ではない健康食品よりは「保健機能食品」の方を選びたいなと思います。また、「トクホ」はやはり国が審査したという安心感もありますよね。
しかし、いずれにせよこれらの食品は健康維持のために一定の働きは期待できますが、医薬品のように病気の治療をするものではなく補助的なもの。特定成分の過剰摂取も考えられますので、特にお子さんには偏った食品を食べさせるよりも、様々新鮮な食材使うことが大切なのではないかと思います。
※参考3(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-024.html)
最後にひとつだけお伝えしたいことがあります。食品を選ぶ時にどこまでこだわるかは、もちろん一人ひとりの判断によるものです。しかし、未来を生きる子どもたちや私たちのためには食品について“知らない”より“知っている”ことが大事だと思います。また、毎日使う食品だからこそ割安なものを選ぶことも大切な一方で、もしかすると数十円の差で“カラダに良さそうなもの”を選べるのも事実です。
ですので、例えば頻繁に買っている食品について今一度見直してみるのもいいですよね。また、カラダに良い旬の食材を選ぶこともおぼえておいてくださいね。皆さんの食生活がもっと安全で美味しく、充実したものになりますように!