記事トップ

チョコレートの裏側に迫る!バレンタインに披露したい、なるほど豆知識。
  • TRIVIA
  • 2018.02.14

チョコレートの裏側に迫る!バレンタインに披露したい、なるほど豆知識。

今年もやってきました、バレンタインの季節。チョコレート好きなら、あげる人がいてもいなくても、デパートのバレンタイン特設会場に行くのが楽しみ♪なんて方も多いのではないでしょうか。そんな日本人がもっともチョコレートにアツくなるバレンタインデーにちなんで、今回は披露したくなるチョコレートの豆知識をご紹介したいと思います。

今回、チョコレートについて教えてくださったのは、不二製油グループ本社株式会社の清水 洋史社長。不二製油グループは、なんとチョコレートの生産量で国内トップ、世界でも第4位を誇る日本有数の食品素材メーカーです。また、チョコレート以外にもさまざまな食品原料をつくっていて、コンビニエンスストアにいけば、お菓子からおにぎり、カップ麺、飲料まであらゆる食品に同社の製品が使われているそう。社名を初めて聞いたという方も、きっとこの会社がつくっている素材を口にしているはずですよ!それでは、さっそく清水社長にお話うかがいましょう。

モグラボ編集部(以下、編集部):清水社長、よろしくお願いします。さっそくですが生産量、世界4位って量にすると、どのくらいのチョコレートをつくっているのですか?

清水社長:総量で年間あたり約20万トンです。弊社のチョコレートは業務用ですから、製菓メーカーなどに卸しています。量が量なので、タンクローリーに入れて運ぶこともあるんですよ。ケーキやアイスクリームにかかっているチョコレートでは、国内で使われる6割程度が弊社のものです。不二製油グループのチョコレート工場は、日本国内に3か所あるほか、中国、マレーシア、インドネシア、タイ、ベルギー、ブラジルにもあり、世界のさまざまな国の人の好みにあったチョコレートをつくっています。

編集部:20万トン!・・・チョコレートの海ですね。不二製油はチョコレート用油脂でも世界トップ3とのことですが、チョコレート用油脂とは何でしょうか?

清水社長:そのご説明をするにあたって、少しチョコレートの原料であるカカオ豆についてお話しましょう。カカオの樹になる実(カカオポッド)を割ると、中に果肉(カカオパルプ)があり、その中にカカオ豆が30~40粒ほどつまっています。これを木箱やコンテナで発酵させた後、焙煎し、味と香りを引き出します。そしてカカオ豆の皮(カカオハスク)を取り除いて、すりつぶすと、チョコレートの主原料であるカカオマスができあがります。

編集部:カカオ豆の皮(ハスク)を取り除いた中身がカカオニブで、すりつぶしてカカオマスができるのですね。

清水社長:その通り。そしてこのカカオマスの成分ですが、約半分は油分です。この油をココアバターといいます。このココアバターが、チョコレートのなめらかな口溶けや香りの広がりをつくりだす、チョコレートの美味しさのもとになります。ところで、カカオの木の学名は「Theobroma cacao(テオブロマ・カカオ)」といいます。これはギリシャ語で「神様の食べ物」という意味。なぜこんな名前がついたと思いますか?

編集部:うむむ、希少なものだからでしょうか?

清水社長:それもあります。チョコレートの発祥地といわれる古代アステカ王国では、王族や貴族など特別な人しか口にすることができませんでした。また当時は、気つけ薬や媚薬として、カカオの豆をすりつぶして飲んでいたそうです。カカオが「神様の食べもの」といわれるもうひとつの理由は、チョコレートの溶ける温度に関係があります。チョコレートって食べる前は固形ですが、口に含むと溶けますよね。これはココアバターの融点、つまり溶ける温度が人の体温に似ているからなのです。自然の産物であるカカオが、ちょうどよく人間の口の中で溶けるようにできているなんてすごいと思いませんか。これぞ神のなせる技ですよね。

編集部:たしかに!ほかに常温では固形で、口の中にいれると溶ける食べ物なんて思い当たりません。当たり前のように食べていたチョコレートのすごさにいま、はじめて気がつきました。チョコレートって口のなかで溶けてこそ、香りや風味が広がっておいしいと感じられますもんね。

清水社長:そうなんです。そのおいしさのもとであるココアバターの代わりとなる油が、私たちが作っているチョコレート用油脂です。どうしてわざわざ代用油脂を作るかというと、このココアバターは希少なだけに非常に高価なものなんですね。また、扱いがとても難しいものでもあります。テンパリングって聞いたことありますか?

チョコレート用油脂

編集部:テンパリング?テンパってる状態、とか?!

清水社長:はい、違います(笑)。テンパリングとは、チョコレートが一番おいしい29度〜32度位(※最適な温度はチョコレートの種類によって違う)で溶ける様に油脂の結晶を調整すること。テンパリングが上手にできると、チョコレートの結晶の粒が細かくなるため表面にツヤが出て、口溶けがとても良くなります。また高密度になるため、型からはずすなどの扱いがしやすくなるという利点もあります。

清水社長:逆に、テンパリングがうまくいかないと、口溶けが悪くザラザラとした舌触りのチョコレートになってしまうんですよ。チョコレートに白い粉のようなものがふいているのを見たことないですか?あれはブルームといって、急激な温度変化によってココアバターの結晶が表面で粗大化したものです。

編集部:そういえば溶けたチョコレートを固めようと思って冷蔵庫に入れたら、白くなっていました。味も落ちていたような・・・。チョコレートってとっても繊細なものなんですね。

清水社長:そうなんです。ですから大規模なメーカーなどでは、大量のチョコレートを安定した品質でつくるのはとても難しくなってしまう。そこで、不二製油の誇るチョコレート用油脂の出番です。弊社のチョコレート用油脂は、ココアバターと非常に似ていながら、チョコレートの柔らかさや溶ける温度を調節できる優れもの。耐熱性があり、ブルームを起こしにくいなどさまざまな機能を持っています。

編集部:その油は、何から作られるのですか?

清水社長:
一般にチョコレート用油脂は、主にパーム油とシアバターからココアバターに似た成分を取り出して作られています。専門的な話になりますが、さらに不二製油では、シアバターの代わりにヒマワリ油を使い、酵素を使った酵素エステル交換というオリジナル技術によって、油脂の配列を分子レベルで組み替えて、シアバターと同じ成分を作ることに成功しました。不二製油は、1970年代半ばからバイオ研究を本格的に行い、1980年半ばに世界で初めて、酵素法によるチョコレート用油脂の工業生産に成功したんですよ。

編集部:神様がつくったココアバターと同じものを、技術の力で実現したなんてすごいです。

清水社長:不二製油は日本の製油企業としては唯一の戦後に生まれた会社。つまり最後発なのです。だから他がやっていないユニークなことをしないと先輩企業には勝てないということで、独自の技術を磨いてきました。そんな技術を用いてチョコレート用油脂の他にもたくさんのオリジナル商品をつくっていて、特許の数は約2600件(2016年3月現在)にも上るんですよ。

編集部:私たちが気軽においしいチョコレートを食べられるのは、不二製油のおかげだったのですね。身近なチョコレートなのに、知らなかったことばかりです。

清水社長:では最後にとっておきのトリビアを教えちゃいます。皆さん、小さい頃よくお母さんに「チョコレートを食べると鼻血がでるよ」って脅されませんでしたか?実はこれ、何の根拠もないことです。チョコレートを食べて鼻血が出たことあります?

編集部:ないです。でも私も小さい頃よく言われた思い出がありますね。

清水社長:でしょう。なぜ、皆して「チョコレートを食べると鼻血がでる」と言ったのか。それはね、昔はチョコレートが高価だったからです。欲しがらせないための脅しだったんですね(笑)。それが近年、チョコレートの成分であるポリフェノールに注目が集まり、健康によいものという認識に変わった。最近では鼻血が出るなんていうお母さん、いないと思いますよ。

編集部:なるほど〜。バレンタインに話したくなるお話をありがとうございます!今日はとても勉強になりました。ところで、不二製油の他の技術も気になります〜

清水社長:では次回は、弊社のもうひとつのコア事業である大豆事業についてお話しましょうか。不二製油では、チーズやヨーグルトを豆乳からつくっているんですよ。

編集部:そんなことができるんですか?!それはぜひ、食べてみたいですね。ということで、続きは第2回のお楽しみに!清水社長、ありがとうございました。

清水 洋史 氏

清水 洋史 氏

しみず ひろし

不二製油グループ本社株式会社 代表取締役社長

不二製油は1950年の創業。南方系植物性油脂と大豆を原料とした素材開発を進め成長。食品素材分野のたゆまぬ技術革新を続け、昨今では、「油脂」「製菓・製パン素材」「大豆」の3つのセグメント間のシナジーを追及。チョコレート用油脂と業務用チョコレートをはじめ、クリームやマーガリンといった製菓・製パン素材、大豆たん白食品等の大豆素材の分野において、世界を舞台に事業を拡大する