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中国の火鍋店事情~火鍋を愛し、火鍋に愛された男③~

中村 篤史

デザインオフィス代表

中国の火鍋店事情~火鍋を愛し、火鍋に愛された男③~

中村 篤史

デザインオフィス代表

さて、前回無事に中国視察も終え、さっそくビジネスとしての可能性を検討していきます。

日本でもブームになりつつある火鍋ですが、グルメサイトで検索したところ380件程度出てきます。(火鍋専門店ではない店も含みます)これが中国だと何と35万件ヒットします。

ほとんど毎日外食するお国柄もありますが、大手チェーンになると数百店展開は当たり前、24時間営業の店舗もあり、深夜営業の店に三々五々、集まってきて好きなように食べている様子も普通に見られます。

カジュアルな店から高級店までありますが、中国では人が集まれば火鍋というイメージです。

火鍋の“底料”をビジネスに。

まず考えたのは、中国製の火鍋底料の輸入。
※底料:火鍋の素、カレーでいうルー
中国のECサイトで検索してみると無数に出てきます。
逆に日本では、大手通販サイトで数種類現地のものが売っている程度で殆ど出回っていません。
現地で購入した底料を持ち帰り、試食してみると確かに美味しい。
ここからリサーチを開始。現地で手に入る底料を、一般向け、業務用含めて数十種類手に入れました。その中から一番味のいいものを選び、メーカーを探りました。

次に現地のコネクションを使い、工場視察のためのアポイントを取り付けます。
現時点で問題になりそうなのは、味の問題。
特に油の品質が心配です。
グリストラップに溜まった油を精製して再利用するようなお国柄です。
もちろん日本人には受け入れられるとは思いません。

次に品質管理。手に入れた物の中には中身が漏れているようなものもありました。
こちらも国内サービスとしては厳しい基準です。
通関の問題もあります。底料は液体になりますので、物流も含めてちょっと様々な基準規制により厄介そうです。

課題は山積みですが、またまた現地へ。底料工場の視察へ向かいます。

いざ、四川の底料工場を視察!

工場は成都郊外にありました。
我々が訪れると総経理が迎えてくれました。
工場はとても大きい!
この大きさで底料だけを作っています。
詳しい工程は企業秘密ですが、要するに香辛料を油で炒めて大きな釜で炊き込んでいきます。
スペアの釜もごろごろしてます。
中国の企業に行くと必ずそこの責任者が自分でお茶を入れてくれます。
日本のおもてなしの感覚とは違いますが、この感じは好きです。

別の工場も視察。
こちらはさらに大きくて、底料以外にも様々な商品を作っていました。
ここでも責任者がお茶を入れてくれます。
それぞれ、底料へ掛ける熱い思いや、プライドを感じます。
皆、WeChatで気軽に繋がってレスポンスも非常に早いです。
未だにメールでしかやりとりしないって言ってる日本の企業は負けちゃいますよね。

国産底料の可能性

四川での視察を終えて通関の問題などを調べていきます。
やはり液体での輸入はハードルが高い。
また試食していく中で品質管理の問題と、日本人にはちょっと牛脂の匂いが強するようにも感じます。
そこで、これを日本で作ってみたらどうか、というアイデアが浮かびます。
中国人の友人達に聞いてみても、日本人が底料作るの?って笑われながらも日本製があれば食べてみたいという声が多数ありました。

早速国内で作れそうな工場を探します。
底料といっても液体状のものから固形のものまで様々です。
どちらも可能性を探って行きます。
液体で作って充填する場合と、固形で固めてパッケージする場合とでは全く違う工程になるので、工場も変わってきます。
固形に対応出来る工場は国内でもごく僅かなのです。

数々視察するうちに、とうとうある食品メーカーの全面的な協力を取り付けることができました。いよいよ本格的に国産底料の開発に着手するところまでこぎつけ、次回に続く…。

to be continue