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ウイスキーは奥が深い -第2弾-

太田 裕見

国立健康・栄養研究所にて招聘研究員

ウイスキーは奥が深い -第2弾-

太田 裕見

国立健康・栄養研究所にて招聘研究員

◆ウイスキーの味をきめるもの

原料(水、麦芽、ピート)、醗酵(酵母、乳酸菌)、蒸留(釜、温度)、貯蔵(樽(種類、サイズ、前歴)、場所、時間)、ブレンドなど。

サントリー山崎蒸留所を訪ねると、蒸留釜が多種多様なのに驚かされる。これは、多種多様な原酒を造りたいという彼らの意志であるが、スコッチにそれはない。ウイスキー製造工程の多様な条件の組合せがあることを想像したとき、ブレンダーの手腕(鼻)(新製品開発ならばまだ理解できるが)、すなわち「角」という商品を、多彩な原酒から一定の品質に収めることができることに人知を超えた不思議さを感じる。

年月がウイスキーの風味を磨き上げるのは事実だが、原酒や樽、貯蔵場所によってその期間はまちまちである。人間と同じように早熟なもの、老成するものがあり、夫々がブレンダーの手駒として役割を果たしてくれる。

白州12年には12年以下の原酒は使えないが、白州Non-Ageなら可能である。飲まれる方の好みだが、若い原酒を使いこなすことができるそんな酒も美味しい。

ウイスキーを貯蔵すると、毎年2~3%程度蒸発する。これを「天使の分け前、The Angels’Share」と言っている。一説によれば、コニャックの原産地では、一日にボトル2万本のコニャックを天使が飲み干しているとのこと。

蒸留した際10,000樽あった原酒は、天使の飲酒と早熟なものを製品化することで、17年たった際には200樽になっている。20年を超えたウイスキーが、急に高くなるのも宜なるかな。

◆ハイボールだけではない

CMで登場された女優さんのおかげで、ウイスキーは復権した。ウイスキーには9種類の飲み方があるが、紹介したいのは「トワイスアップ Twice up」。ウイスキーに同量の水を注ぐというシンプルな飲み方だが、バーで注文すると、一目置かれる(かもしれない)。ブレンダーは香りを「Twice up」確認する。小難しい話になるが、「度数20%のアルコールは極性が最小になる」ことが理由と推察されている。要は、香り成分を抱えきれず、放出するということ。

◆お酒は何より適量で

このグラフを出すと、左党は我が意を得たとばかり喜ぶ。全く飲まない人に比べ、日本酒にして一合ぐらいの飲酒をしている人の相対危険度(死亡割合)が低い。いわゆる「Jカーブ」になる。でもその先は、急な角度で死亡率は上昇するのだが—–。

やはりお酒は適量が一番である—–。