プロテインの素晴らしさを伝えたい 。
そんなアツい想いからスタートした同企画。龍谷大学のスポーツ系サークルの躍進を影で支える青木達さん(左)と酒井崇宏さん(右)、2名のS&Cコーチに、知られざるプロテインの魅力を教えてもらいました。
編集部:ストレングス&コンディショニングコーチ(以下、S&Cコーチ)。調べるとアメリカ発の資格なんですね。初めて耳にしました。
青木コーチ:日本ではまだあまり馴染みがなくて。最近は中学生の体育の教科書にスポーツを支える人として紹介されています。例えば、ケガした人をマイナスとすると、それをゼロに戻すのがアスレティックトレーナーで、S&Cコーチは選手を“よりプラス”の状態にするのが仕事です。
編集部:選手以外に一般の方と関わることもあるのですか?
青木コーチ:アスリートと関わることが多いというだけで、一般の方を指導されている方も中にはいらっしゃいます。
編集部:では、これまでの経歴を教えてください。
青木コーチ:龍谷大には2007年に来て、4年間は瀬田キャンパスに。ボート部と硬式野球部が主な担当クラブでした。その前は他大学でアメリカンフットボール部を指導していましたね。
酒井コーチ:僕は龍谷大に来たのは3年前で、その前はパナソニックインパルスというアメリカンフットボールのチームでS&Cコーチをしていました。僕は関東出身なので、関東の大学バスケットボール部でも指導を。
編集部:お二人ともに、元プレーヤー?
酒井コーチ:僕は違いますね。
青木コーチ:僕はそうです。陸上競技を11年間やっていました。
編集部:酒井さんもスポーツはされていたんですよね。
酒井コーチ:はい。バレーボールをやっていたんですが、プレーヤーとしては大成しなくて。ただ、スポーツを学ぶことに興味があったので、資格を取ろうと。
編集部:資格を取得されたのは何年前ですか?
青木コーチ:僕は2000年頃ですかね。大学を卒業してフリーターをしながら陸上をしていましたが、その時にこの資格を知って。
僕は腰痛持ちで怪我をよくしていたので、それを未然に防ぐためには体を作った方がいい。ですので、アスレティックトレーナーにも興味はあったんですけど、健康な選手をどんどん強くした方が自分の性には合っているなと思いまして。
酒井コーチ:僕は高校を卒業する段階でこういう資格があることを知って、11年前に。
編集部:現在、担当されているクラブは?
青木コーチ:男子女子柔道部と女子バレーボール部です。
酒井コーチ:僕はアメリカンフットボール部と男女バトミントン部ですね。
編集部:5名のS&Cコーチが在籍されているそうですが、担当競技はどういう割り振りなんでしょう。
青木コーチ:キャンパスごとに主たるクラブがあって、順繰りで様々なスポーツを担当しています。ベーシックなトレーニングは大きくは変わらないので。
また、それぞれの担当がそれぞれのチームのコーチと話をして、体作りの提案をし、オーダーに応じてプログラムを調整します。年中同じプログラムを作っているわけではなくて、試合などに向けて逆算しながら、2、3週間ごとにプログラムを更新していきます。
酒井コーチ:監督やコーチとやりとりしながら、どんな体づくりが必要か、ニーズを見つけていくことも重要なんです。
編集部:私たちが来る前にもトレーニングされていたと聞きましたが、どのような1日を過ごされているのか教えてください。
青木コーチ:プロテインにかぶせて言うとですね、朝起きてすぐプロテインですね。
編集部:え、起きてすぐ!?
青木コーチ:朝7時に起きて、シェーカーに水を注ぐところから1日が始まります。で、シェイクしながら新聞を読む。基本的にプロテインシェイクから1日が始まる感じですね。
編集部:“朝イチ”に飲むのがいいのですか?
青木コーチ:寝ている間は栄養が何も入ってきていない状態ですよね。そうすると栄養分がなくなって、人間の体は筋肉を食いつぶしながら生命活動を維持するんですね。なので、とにかく早く投入してあげて、たんぱく質を補う事が大切なんです。
編集部:朝の方が吸収率が高い?
酒井コーチ:元に戻してあげる感じですね。
編集部:なるほど。朝ご飯の代わりにということですか?
青木コーチ:いや、朝ご飯はもちろん別です。プロテインを飲んでから朝ごはんがスタート。朝ご飯にプラス、プロテインと思ってもらえれば。それから大学に行って、まずは1時間ぐらいトレーニングして。で、終わるやいなや、またプロテインを飲みます。
編集部:これは、朝のプロテインとはまた意味合いが違うんですよね。
青木コーチ:そうですね。筋肉に“ご褒美”をあげる感じです。分かりやすくいうと。
編集部:ご褒美!
青木コーチ:筋肉が使われて、疲れた〜ってなった時にプロテインを。お疲れビールと同じ。
編集部:非常に分かりやすいです(笑)。
酒井コーチ:というか、自然と飲みたくなりますよね。
青木コーチ:トレーニングが終わったら、体が求める感じ。
酒井コーチ:飲むと満たされる感じがしますね。染みるような。プロテインを飲み終えて、ようやくトレーニングが終わったなと思います。
青木コーチ:トレーニングだけで終わったらね、損したような気分になりますよ。プロテインがないと、なんかイライラするんですよね。
酒井コーチ:そう。プロテインを飲まないともったいないなって思います。プロテインを飲めば、もっと筋肉がついたのにって。
編集部:そんなに違うものなのですか?
青木コーチ:明らかに違います。
編集部:もはやノープロテイン、ノーライフみたいな。
酒井コーチ:まさしく(笑)。
編集部:トレーニングの後は学生の指導に。
酒井コーチ:そうですね。午後3時頃から。それまではプログラムを考えたり。
青木コーチ:コーチと打ち合わせをしたりとか。その作業がけっこう時間がかかるんです。
編集部:現場仕事のイメージですが、デスクワークも多いんですね。
青木コーチ:プログラムを作るのって、簡単なようにみえてすごく複雑なんです。エクササイズの羅列ではなくて、例えば、すごく人数が多いクラブだとマシンがかぶらないようにと別のプログラムを組んだり。
編集部:昼にもプロテインは飲むんですか?
青木コーチ:基本は飲まないですね。
編集部:基本はトレーニングとセットで。
青木コーチ:そうです。飲むなら最初と最後ですね。
酒井コーチ:食事であんまりたんぱく質が取れなかったなぁという日は、多めに飲むようにしますね。プロテインを飲み出すと常にたんぱく質の量で考えちゃうんですよね。
青木コーチ:そうそう。
酒井コーチ:スポーツ選手は体重かける2gのたんぱく質を摂取することを推奨されているんです。80キロだったら160gですね。プロテインだと1回で20gから30gぐらいとれるので、あとは食事でとれるか計算して、足りてなかったら補うという。コンビニとかに行ってもたんぱく質の量で商品を選んでしまいますね。これ、プロテイン生活の悪いところなんですけど、なんでもたんぱく質で決めちゃう。
青木コーチ:パンでも成分表を見て、多いなと思ったものを買いますね。
酒井コーチ:食べたいものとは別に、たんぱく質が多いから食べちゃうことはあります(笑)。
編集部:プロテイン、つまりたんぱく質の役割は筋肉を作るということですよね。
青木コーチ:そうですね、主に。
酒井コーチ:筋肉だけじゃなくて、髪とかお肌とかもたんぱく質でできている。体を構成するものですね。
編集部:一番、核となる栄養素がたんぱく質であると。
青木コーチ:エネルギー分は炭水化物が大切ですけど、逆にいえば、大事なんだけどとりにくいものですね。とりにくいので補う事が大切なんです。
編集部:でも、お肉などの食材でも摂取できますよね。
青木コーチ:とれます。ただ、脂肪とかいらないものも一緒にとっちゃうんですよ。これはたんぱく質だけをとる事ができるから効率がいい。脂肪ゼロの肉はないですから。あと流動体で吸収もいいですしね。
編集部:体に負担なく摂取できるのも魅力なんですね。
青木コーチ:そうです。
編集部:帰宅後は、もう飲まないんですか?
青木コーチ:体の中でゆっくりと吸収されるカゼインプロテインというのがあるんですけど、それを寝る前に。
酒井コーチ:僕は家庭にはプロテインを持ち込まないようにしています。
青木コーチ:(笑)。僕は息子にも妻にも飲ませていますよ。飲んだ方がいいよ、絶対にって。
編集部:ここまでハマってしまう理由は何でしょう?
酒井コーチ:ハマるというか、必要だから飲んでいる感じですかね。
青木コーチ:僕らは、自分たちもトレーニングをしていないと指導はできないと思っていて。じゃないと、説得力ないですよね。
編集部:確かに、おっしゃる通りです。
青木コーチ:それと同じで、プロテインを飲んでない人がプロテインを飲めとは言えない。やっぱり選手には体作りをしてもらいたいので。プロテインの必要性を彼らに教えてあげるのも、僕らの大事な仕事だと思っています。
編集部:先ほど、奥様にもプロテインを薦めているとおっしゃっていましたが、奥様もトレーニングをされているんですか?
青木コーチ:いや、ただの一般女性です。たんぱく質は、特に女性はほとんどとれないと思いますよ。普段の食事からは。
編集部:え!? 私も同じ女性なので…それはどういうことですか?
青木コーチ:仮に意識的にとったとしても、あまりとれていないと思います。
酒井コーチ:女性はカロリーを気にして、肉とか魚を十分食べる方って少ないんですよね。昼夜食べても、朝は食べない人も多いと思うので。
編集部:確かにそうかも…。男性よりも女性の方が慢性的に不足気味であると。
青木コーチ:だと思います。女性は貧血の方が多いですけど、たんぱく質不足も貧血の原因のひとつだと思います。鉄分をとれっていいますけど、鉄分以上にたんぱく質をとらないといけないんです。
編集部:初めての方向けに、飲む時の注意点はありますか?
青木コーチ:妻がそうだったんですけど、中には一度に規定の量をいきなりとると気持ち悪くなる人がいるんですね。なので、半分とか三分の一の量でいいのでそこから始めて、徐々に量を増やすのがいいと思います。
編集部:なるほど。
青木コーチ:1回20グラムなので、例えば60キロの体重の人だったら3杯飲んだら終わりですから。
編集部:確かにお手軽。時間に追われがちな現代人にはぴったりですね。
酒井コーチ:でも、本来は食事でとるのが望ましいとは思います。
編集部:普段の生活のなかで飲むなら、ベストはやはり朝イチ?
青木コーチ:そうですね。理由は、朝はたくさんたんぱく質をとれないから。食べても卵とかその程度だと思うんで、飲んで補ってあげる。
編集部:ではまず朝に飲んで、その後は?
青木コーチ:一般の人は朝にとったらそれでいいと思いますね。昼も夜もたんぱく質をそこそことれるっていう前提のもとですけど。
編集部:たんぱく質が多い食材は、どのようなものがありますか?
酒井コーチ:肉や卵、あとは豆製品。納豆や豆腐ですね。
編集部:ということは、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンのような効果も期待できるのでしょうか。
青木コーチ:うーん。それは分からないですが、僕らは生乳からできているホエイプロテインというものを飲んでいるんですけど、もうひとつ、ソイプロテインというのもあって。でも味はホエイが美味しいかな。
酒井コーチ:やっぱり美味しくないと継続できないと思うんで、イソフラボンをとりたいなら僕は豆乳を薦めますね。
編集部:普段の食事にも、もちろんこだわりが。
酒井コーチ:バランスのいい食事があったうえでのプロテインなので、普段も低脂質、高タンパクの食事を心がけています。できるだけ揚げ物は選ばないとか、あとはたんぱく質も色んな食材からとるように。
編集部:お肉ばかり食べていればいいというわけではないんですね。
酒井コーチ:専門的な話になりますが、成分が微妙に違うんです。あとは、流行りものでいくと、サラダチキンとか鯖缶もいいですよ。
編集部:これはもう、時代が無意識にたんぱく質を求めているんですかね。
青木コーチ:現代はストレス社会ですが、たんぱく質と鉄分で鬱は防げるというドクターの方もいますね。推奨する本も出ているぐらい。プロテインの語源はギリシャ語の「もっとも大切なもの」という意味らしいんです。なので、やはりプロテインはすごく大事なんですよね。
酒井コーチ:家を建てる材料のようなものですからね、たんぱく質は。
(第二部に続く)
撮影/伊藤 信 取材・文/吉田 志帆