さつま芋が美味しい季節になりました。みなさんはどのようにして食べていますか。

さつま芋はアメリカ大陸の南部(メキシコあたり)で生まれたのですが、コロンブスが アメリカからヨーロッパへ持ち帰り、その後アフリカやアジアへ広がりました。

日本へは中国から琉球(沖縄)を経て薩摩(今の鹿児島県)へ伝わったので、「さつま芋」と呼ばれています。

穀類も、芋類も生では固くて美味しくないのに、加熱すると美味しく、消化も良くなります。でん粉が加熱により糊化して、βでん粉からαでん粉になるからです。特にさつま芋は加熱時にアミラーゼが働き、糖が増えて甘くなります。

ホクホクとした焼き芋は寒い季節には懐かしく、つい食べたくなってしまいます。さつま芋はその甘味ゆえに様々な料理やお菓子の材料となります。さつま芋ご飯、天ぷら、大学芋やスイートポテトなど、どれも魅力があります。

さつま芋は生では固く、甘みもほとんど感じられませんが、加熱すると柔らかく甘くなります。さつま芋に含まれるβアミラーゼという消化酵素が、加熱されて糊化したでん粉に作用して麦芽糖という甘味成分を生成するためです。ちなみに唾液などに含まれるαアミラーゼはでん粉を内部から不規則に切断するのですが、βアミラーゼは一方(非還元末端)から順番に切断し、麦芽糖を生成します。βアミラーゼは生のでん粉では働かず、糊化したでん粉にしか作用しません。さつま芋でん粉の糊化は概ね70℃前後から始まりますので、この温度帯からβアミラーゼが活躍します。しかしβアミラーゼは80℃以上になると著しく活性を失います。このため、この温度帯(70℃前後)をいかに長く保持するかが、甘くておいしい焼き芋づくりのポイントです。天ぷらにする時も、さつま芋を厚めに切ると美味しく揚がります。

レシピ①さつまいもの絶品スープ

さつまいも…300g
玉ねぎ…120g
ブイヨン…300cc
(水300cc、粉末ブイヨン8g)
牛乳…300cc
バター…10g
生クリーム…50cc
パセリ…少々

<作り方>
1.玉ねぎはスライス、パセリの葉はみじん切り
2.さつまいもは厚めに皮をむき2cm角に切って水にさらす
3.煮込み用の鍋にバターを溶かし、玉ねぎを妙める
4.玉ねぎが透き通ってきたら、さつまいもを加え、さっと妙める
5.ブイヨンを加えて15分ほど煮込む
6.粗熱をとってミキサーにかけ、なめらかにする
7.鍋に戻し、牛乳を加え、煮立ったら仕上げに生クリームを加える
8.器に盛り、みじん切りのパセリを添える

レシピ②さつまいものきんぴら

さつまいも…300g
濃口醤油…20g
砂糖…25g
ごま油…8g
みりん…5g

<作り方>

1.さつまいもの皮を厚めに桂剥きし千切りし水にさらす
2.さつまいもは1cm幅に細切りにし水にさらす
3.フライパンにごま油を入れ、水切りした1,2のさつまいもを妙める
4.全体に油がなじんだら、砂糖を入れ全体になじせる
5.4に濃口醤油をなじませ、蓋をして2分蒸らす
6.最後にみりんを入れ照りをつける

参考 ベニハルカ

ヒルガオ科 サツマイモ属

紅はるかは、2010年に品種登録された比鮫新しい品種です。
名前の由来は、安納芋よりも“はるかに甘い”ということから「紅はるか」となったようです。

担当:野口 聡子、内田 眞理子

【内田 眞理子(うちだ まりこ)プロフィール】
元龍谷大学短期大学部教授、修士(家政学)
京都府出身。専門分野は小児栄養、食育、給食経営管理学。同志社女子大学大学院家政学研究科修士課程修了、1997年(株)ソデックヘルスケアを経て、2002年から短期大学部に在職、小児栄養担当、2019年退職。管理栄養士、給食経営管理学会評議員。