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CULTURE 2020.12.17 石原 かんな

【がんばり過ぎない食育】自宅で「味噌作り」に挑戦!手作りと市販の味噌は何が違う?

食育にもぴったり!親子で添加物なしの「生みそ」作り

納豆やヨーグルト、味噌などの発酵食品が注目されています。食べることで良い菌を取り入れ、腸が元気に働ける環境を作り免疫力を高めると言われているからです。

そこで、大阪府堺市にある味噌や醤油の醸造会社・株式会社雨風(1689年創業)がインターネットで販売している「お手軽味噌キット」を取り寄せて味噌作りに挑戦してみました。雨風さんでは「手作り味噌教室」が人気で、学校などへの出張教室も含めると年間1500人以上が体験するほどだったとか。しかし、コロナ禍で教室に来られない方も増え、教室と同じ仕様で作れるようにと考えたセットを手頃な価格で提供されています。

実際に家でお味噌を作ってみると必要な道具も少なく簡単! 混ぜたりこねたり...という力は必要ですが、子どもも遊び感覚で楽しめ、ちょっとした運動不足解消やリフレッシュにも最適です。

最後に手作り味噌のメリットも紹介していますので、ぜひご覧くださいね。

【1】まずは味噌キットを取り寄せよう

今回ご協力いただいた雨風さん以外にも、味噌作りのキットを販売しているところはありますが、ここでは雨風さんが販売している味噌の種類(※)について簡単にご紹介します。初心者さんにオススメなのは以下の2種類。
■田舎味噌タイプ
熟成期間3~6カ月。堺に古くから伝わる配合の、糀が多めの関西風味噌。まろやかな糀の甘みが特徴で毎日のお味噌汁としてはもちろん、どんな料理にも使いやすく豚肉とも相性バツグン。
■白味噌タイプ
熟成期間1~2カ月。戦国時代に京都から堺に伝わり家庭で作られてきた白味噌。お正月のお雑煮に使われますが、甘みがあるため味噌煮込み料理や野菜ディップなどにも。

以下が送られてきた味噌キット一式(田舎味噌タイプ)。

わかりやすいイラスト入りのレシピもついているので安心です。

いずれも送料・レシピ込で仕上がりは3kg。4,700円(税込)。他に「熟成味噌タイプ」や「玄米タイプ」も。
配達日もしくは配達日の翌日に仕込みます。仕込み日を想定して備考欄に書き込んで申し込めばメールでお返事をもらえるのでスムーズ。不安な場合は電話をすれば丁寧に相談に乗っていただけますよ。
※雨風さんのお手軽味噌キット
https://amekaze-sakai.com/detail/cn6/pg2206041.html

【2】味噌をこねるボール・寝かせる用の保存容器などを準備

大豆は茹でた状態で送られてくるため火を使わずお鍋も不要。お味噌をこねる【ボールや樽】と、寝かせるための【保存容器】を準備すればOK。他は家にあるもので概ね大丈夫です。
■大きめのボールや樽
■保存容器:桶やタッパーなど
■丸めたお味噌を置く皿 ※こねた味噌をそのまま詰める場合はなしでもOK
■食器に使えるアルコールスプレーもしくは酒類(35度以上)
■カビ止め用の塩少々
■重石(1~2kg)※ビニール袋に塩を入れて代用も可能

【ボールや樽】は大きめのものを。私は直径30cmのボールを準備しました。
少し悩むのが【保存容器】。「詰める際に空気が入るとカビが発生しやすくなるため、底が丸い筒状のものが詰めやすいです」とは、株式会社雨風の代表取締役・豊田実さん。
保存容器を買うにはホームセンターや大きめのスーパーの「漬物コーナー」がオススメです。いわゆる「樽」仕様のものから「タッパー」仕様のものまで形も大きさも様々な種類があり、私は丸い半透明のタッパー容器をチョイス。大きさは3.6リットルのものにしましたが、今回のように3kg程度を仕込むのであれば5リットル程度ある方が仕込みやすいとか。

容器など全ての器具はキレイに洗い、カビが生えないように消毒します。食器にも使えるアルコールスプレーを使うのが簡単ですが、アルコール濃度の高い(35度以上)焼酎や泡盛、ウイスキーやジンなどをキッチンペーパーに含ませて内側をふきとり、乾かして使っても大丈夫です。

【3】大豆をゆっくりじっくり煮る(味噌キットには煮た大豆入り)

キットでは茹でた状態の大豆が送られてきますが、ここからが本格的な味噌作りの工程ですので簡単に紹介します。

大豆は2~3回水で濁りがなくなるまで洗い、約3倍の水で一晩(7~8時間)水に浸しておきます。
翌朝にはザルで水切りをして大豆の2倍強の水で煮ます。最初は強火で、沸騰したら弱火でコトコト。弱火でじっくり煮た方が大豆の甘みが増すそうです。
利き手でない手の親指と人差し指で大豆を縦にはさみ、簡単につぶせる柔らかさになれば出来上がり。

【4】大豆をギュッギュッと押しつぶそう

いよいよ家で子どもと味噌作りに挑戦!まずは手をキレイに洗いましょう。

茹でた大豆が袋に入っているので、そのまま押しつぶします。フードプロセッサーを使ってもOKとのこと(ネット検索してみると、ポテトマッシャーやすりこぎなどを使われている方も)ですが、やはり味噌作りの醍醐味を味わえるのは“手”ですよね。
たくさんの大豆をギュッギュッと押していくと、昔懐かしい朝の豆腐屋さんのような香りが漂ってきて幸せな気分に。息子も「クッキングするー!」と楽しそうにつぶしてくれました。
細かくすればするほどお味噌の肌目は細かくなるのだとか。最初の頑張りどころです!

【5】糀に塩をすり込ませる「塩切り」

次は糀をボールに入れ、揉みほぐして塩を加える「塩切り」の工程。塩と糀を両手で優しくすくい上げながら混ぜ合わせ、塩を手ですり合わせるようにしてよく揉み、糀に塩をすり込ませると発酵が均一になって上手く進むそうです。ほのかに甘い華やかな糀の香りにも癒されますよ。

お味噌では、「大豆がお父さん」で「糀はお母さん」なのだとか。お母さんは優しく取り扱いましょう。
※大豆を煮る工程から始める場合は、煮ている間に同時進行すると時間短縮になります。

【6】「大豆」と塩切りした「糀」をしっかり混ぜる

最大の頑張りどころがやってきました! つぶした大豆に塩切りした糀を混ぜる工程です。私は糀のボールの中に、つぶした大豆を数回に分けて入れることに。

手でムギュッと握るようにしながら糀と大豆を丁寧に混ぜていきます。力が必要ですが、子どもにも手伝ってもらいながらゆっくりと進めていきました。陶芸の土をこねるような感覚にちょっと似ているのかも…。無心にもなれるので、疲れ気味のお母さんやお父さんもリフレッシュにいかがでしょうか(笑)。
大豆と糀がしっかり混ざって耳たぶくらいの固さになるまで頑張りましょう。

【7】団子を作って保存容器に詰めていく

最後に団子を作って保存容器に入れていきます。
大きな団子、小さな団子…楽しみながら作りましょう。砂場遊びが大好きな子どもは、この作業を一番楽しそうにやっていました。たくさんの味噌団子の完成です!

出来上がった団子の空気を抜くため、保存容器に敷き詰めてギュ~ッと押し切ります。終われば2段目、3段目と押し切りながら詰めていきます。容器の内側に団子を投げつけてから押すのも良いそうですよ。

中の空気を残さないようにしっかりと押しつけたら、カビ予防のためにフチに沿って塩2~3つまみをかけます。ぴったりとラップをかけ、全体量の約3分の1程度の重さの重石を載せたら仕込みの完了です!
写真は仕上がったお味噌と、やり切って眠そうな息子です(重石はまだ入っていませんが)。
※重石はビニール袋に塩を入れて代用することも可能です。

保管は直射日光の当たらない風通しの良い涼しい場所で。少量のため味噌をかき混ぜる「天地返し」の作業は不要。あたたかい目で見守っていきましょう。
今回作った「田舎味噌」の熟成期間は3~6カ月程ですが、約2~3カ月程で味噌の表面に「たまり」が浮いてきたら使い始められるとか。そのまましばらく熟成させてから冷蔵庫に移しても、小分けにして冷凍庫で保存しても。出来上がりが楽しみです!
雨風の豊田さんは、「手をかけた分だけ美味しくなる。みんなで作る楽しみを共有できるのが味噌作りの楽しさです」とおっしゃっていました。

味噌本来の栄養、味や風味を楽しめる「手作り味噌」

市販のものを探せば安いお味噌を買えるのも正直なところ。では、手作り味噌のメリットとは何でしょうか?

■原材料がはっきりとわかる
市販の味噌は、国産米や国産大豆と明記がない限り外国産の材料を使っていることが多いもの。しかし、自分で材料を選んだり、雨風さんのような味噌キット(大豆は北海道産鶴娘・米は国内産低農薬米・塩は赤穂の塩という国産原料を使用)を使えば原材料が明確にわかります。
また、市販のお味噌には添加物や防腐剤などが含まれていることもありますが、手作り味噌には含まれていません。

■自然のままに熟成させ、本来の味噌の味が味わえる
市販の味噌は、「天然醸造」という表示がない限りは人工的・強制的に温度を加えて熟成期間を短くする製法で作られていますが、手作り味噌は中で生きている微生物の働きに委ねて自然のままに熟成させる「天然醸造」です。
ゆえに、季節の寒暖の変化に発酵を任せながら手間をかけてゆっくりと熟成させるという本来の製法だからこそ本物の味に仕上がるのです。

■発酵食品として健康を支える「生みそ」
市販の味噌は「生みそ」と表記されているものを除き、発酵を止めるために加熱殺菌されているものがほとんど。商品として常温で陳列するためには加熱殺菌して発酵を止める必要があるからです。
一方、手作り味噌は「生みそ」。微生物が醸し出す数々の生成物をそのまま体内に摂り入れられる、古来から日本人の健康を支えた「健康食品」です。生みそは発酵を続けているため長期間の保存も可能で、熟成中の味わいの変化も楽しむことができます。

■“手作り”ならではの良さ
手でしっかりと糀・大豆・塩をこねることによって大豆のたんぱく質と糀の酵素が接触して反応を起こし、アミノ酸分解が進み美味しい味噌に仕上がります。また、慣れてくると自分好みのお味噌を作ることもできます。
余計なものを使わない安全で健康を支える食材が食卓を豊かにしていきます。

味噌作りを家族の恒例行事にすれば、子どもの成長をもっと実感できる!?

味噌作りのレポートと手作り味噌のメリットはいかがでしたか?
正直、もっと難しいと思っていた「味噌作り」。でも、その工程自体はシンプルなものでした。一方、各家庭で異なる作り方をされるという味噌作りは奥深いと感じましたし、違う配合や大豆から茹でる工程も体験してみたいとも。
ぜひ、皆さんも簡単なキットを取り寄せたり、教室などでの味噌作りを一度体験してはいかがでしょうか。毎日のように食すお味噌汁の「お味噌」がお子さんと一緒に作れたら、今以上にたくさんのご飯を食べられるようになるかもしれませんね。

雨風の豊田さんに味噌作りを習われたお子さんの思い出を尋ねてみると、「幼稚園の年中から毎年おばあさんと教室に来られているお子さんがいまして。最初は途中で諦めがちだったのですが、年長や小1と成長するごとに自分の味噌としてしっかり作れるようになりましたね」と。
このように味噌作りを通して子どもの成長を感じられるのは嬉しいことですし、毎年同じように作っても味は異なるのだそう。味噌は寒い時期にしっかり熟成させるのが適していることからも、毎冬、味噌作りを恒例行事にしてみるのはいかがでしょうか。
豊田さんから最後に一言アドバイス。「食べているもので体が作られます。子どもには良いものを食べさせ、悪いもの(自分で説明できないもの)はなるべく避ける。お母さんもお父さんも無理をしない範囲で努力しながら、たまには息抜きを!」。体の基礎を作る食生活。工夫しながら楽しんでいきたいものですね。

取材協力:糀屋 雨風(株式会社雨風)https://amekaze-sakai.com

石原 かんな

いしはら かんな

ライター・食育インストラクター

京都育ち、大阪在住のフリーライター。少しお調子ものでマイペースな男児の母。人物取材、グルメやファッションの取材撮影、企業や学校関係など分野は問わず活動中。美味しいもの、人生を楽しむこと、一生懸命に生きるひとに興味津々。世界中でいちばんお気に入りの場所は、京都の「鴨川べり」。