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信州林檎物語⑤ 「りんく農園(中編)」 人と“りんく”するりんご

HYAKUSHO MAG

農家さんのSTORYを届けるWEBマガジン

信州林檎物語⑤ 「りんく農園(中編)」 人と“りんく”するりんご

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食卓を彩る、りんご。ひとかじりすれば、甘酸っぱくて甘い、ジューシーなおいしさが、口いっぱいに広がります。そんな、おいしさを生み出しているのは、ほかならぬ「りんご農家さん」。そんな農家さんの思いや、農業に対する哲学に、耳を傾けてみませんか?

りんごを愛して奮闘する、りんご農家さんのインタビューをお伝えしていきます。
きっと、りんごの見え方や味わいが、昨日とは変わるはず。

ご紹介する農家さんは、長野県南部の中川村で「りんく農園」を運営する山岸純二さん・さやかさん夫妻です。純二さんは経営者、さやかさんは会社員として働いていた北海道から移住し、2020年1月から農園を立ち上げました。

「人と人をつなげるりんごを作りたい」とおふたりは話します。

りんごを通じて、たくさんの方とつながりたい

現在のりんごの販路は、農協や道の駅、直接販売、さやかさんが作ったりんく農園公式ホームページからつながるネット販売などです。
お客さんの中には、おふたりの友人や、おふたりの趣味のバイク仲間も含まれているのだそう。

さやかさん「周りには年賀状のやりとりで『今研修中です』とか『今年からりんご農園を始めます』みたいな感じで近況報告はしていたんですけれど、『りんごを買ってほしい』とは言わないようにしていました。買ってほしいとお願いすると、買わなきゃいけないように思わせてしまいそうで、なんだか悪いなぁと思っちゃって。
でも向こうから連絡をくれたんです。『りんごを買いたい』と。ありがたいことですね。」

りんく農園の目標は、”私たちが作ったりんごで「おいしい!」の笑顔を増やすこと”
農業を志した時から、ずっと変わらない想いなのだそう。

さやかさん「それができれば、名前の”りんく”にあるように、りんごを通じてお客さんとのつながりが生まれると思います。
今まではバイクと一緒に旅をすることで、いろんな人やいろんな景色とつながることができました。これからは、りんごを通じて、たくさんの方とつながりを作っていきたいですね。」

純二さん「私たちは ”お客さんの食卓に『笑顔』と『彩り』をお届けできる立役者” になりたいんです。農家さんや漁師さんたちが作ったり獲ったりしたものが集まって、楽しい食卓を作りますよね。私たちはそれを、りんごで担っていきます。」

お客さんとは、揺るぎない信頼感を作りたいというおふたり。りんごの質を見て箱詰めするのはもちろんのこと、丁寧に梱包したり、送付日をお客さんの都合の良い日に合わせたりするなど気を配ります。ひとつひとつ丁寧に行っていけば、いつか信頼関係ができると信じています。

純二さん「真面目にコツコツと、嘘をつかない商売をしていれば、お客さんはついてきてくれるのかなって思います。」

さらに、りんごの質について正直に書くのもりんく農園流です。「うちは、良いことばかりは書きません。」とさやかさん。自然の恩恵を受けて大きくなるりんごは、時には蜜が入らないこともあります。最近では、温暖化によって暖かくなっているので、蜜が入ることはだんだんと難しくなってきています。

さやかさん「 ”蜜のお約束はいたしかねます”  と正直に書いていますが、それでも購入してくれるお客さんがいらっしゃる。不思議ですね、なんで買ってくれるのか。良いことが書いてある農園さんはたくさんあるのに。」

今は農業のことで頭がいっぱい

バイクが好きなおふたりですが、最近はなかなか乗れていないのだそう。

さやかさん「やっぱりやらなくちゃいけない仕事が、たくさんありすぎるんですよね。気になってしまって、出かける気持ちにはまだならないですね。」

日中は畑作業。帰宅後も、経理やお客さんへの伝票を作る作業などが待っています。

純二さん「私の場合、もともとバイクに乗り始めた理由は、仕事を忘れられる時間が欲しかったから。バイクを運転している時って五感を使うじゃないですか、仕事のことを一瞬でも忘れられる。

今は、仕事について忘れている暇なんてない。いつでも頭には、りんごがありますね。」