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10月8日は「ようかんの日」。羊羹のルーツは羊のスープだった!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

10月8日は「ようかんの日」。羊羹のルーツは羊のスープだった!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

10月8日は「ようかんの日」。練り羊羹発祥の地といわれる和歌山県にある和菓子店「紅葉屋本舗」が、「疲労回復に良いとされるビタミンB1を多く含む、美味しい羊羹を食べて元気になってもらいたい」と、制定しました。

日付は、食欲の秋の10月、縁起がいいと言われる「八福」にちなんで8日とされています。「いと(10)おいしいよう(8)かん」の語呂合わせでもあるようです。

羊羹は、大きくわけて3種類あります。
もっとも一般的なのは「練(ね)り羊羹」。基本材料は、小豆、寒天、砂糖。煮溶かした寒天に砂糖と小豆のこしあんを加えて火にかけて練り、型に流して固めて作られます。

2つめは、「練り羊羹」の水分量を増やし、つるりとした食感が楽しめる「水羊羹」。3つめは、小麦粉や葛粉、砂糖、水などを型に流し入れ、蒸して作る「蒸し羊羹」です。

中国で羊のスープだった「羊羹」が、日本では植物性の汁物にアレンジされた

羊羹という文字を見てみると、「羊」という字が3つ含まれていることに気づきます。じつは、羊羹は羊と関係がある食べ物なのです。

羊羹のルーツは、紀元前から中国で食べられていた料理です。「羹(あつもの)」は汁物のことなので、「羊羹」は、羊の肉を入れたスープを指します。

羊羹が日本に伝わったのは、平安時代とも、鎌倉〜室町時代ともいわれています。当時の日本には羊がいなかったうえに、肉を食べる習慣もありませんでした。そこで、羊肉の代わりに小麦粉や葛粉、もち米の粉、小豆の粉、山芋などを入れたスープが精進料理として食べられていました。

次第に宮廷や寺社での祭事でふるまわれるようになり、のちに武家が客をもてなす本膳料理にも登場します。

ちなみに現代の皇居では、コンソメスープは「清羹(すまし)」と呼ばれています。洋風のスープに「羹」の文字が使われているのは、なかなか興味深いですね。

「羊羹」は汁物から和菓子へと発展

羊羹が、スープから菓子へと変化したのは、安土・桃山時代のことです。この時代は茶道が盛んで、汁物に入れられていた練り物をお茶受けとしてふるまうようになりました。
この練り物は蒸したり、こねたり、甘みも加えられたりし、形を作ったものは現在の「こなし」、生地を型枠に流して蒸したものは「蒸し羊羹」の原型となりました。

しかし、これらの蒸し羊羹は水分が多く、日持ちがしないことが課題でした。江戸時代中期になり、一般的に広く普及しはじめた寒天を使う方法が登場します。これは、現在の羊羹と同じく、炊き上げた寒天と砂糖、小豆あんを型に流し込むというものです。水分を飛ばしながら寒天で固めるため日持ちがよくなったことで大流行。しだいに全国に広まっていきました。

夏目漱石は、著書で羊羹への愛を綴っていた

明治時代の文豪、夏目漱石は大の羊羹好きでした。著書『草枕』では、「余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好だ」「あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ」と、羊羹への愛をたっぷりと語っています。

羊羹は、品の良い甘さ、ずっしりとした重量感、繊細な口溶けが特徴。現代の私たちにとっても特別感のある高級和菓子ですよね。大切な方への贈り物として選ぶ方も多いのではないでしょうか。

10月8日「ようかんの日」は羊羹の歴史を紐解きながら、お好きな羊羹を食べてみてくださいね。この時期ならではの芋羊羹、栗蒸し羊羹を食べるのもおすすめです。