寒い日が続き、緑が少ない季節となりました。庭では、花が咲き終わったり、草木が枯れたり休眠したりしている植物も多いのではないでしょうか。しかし、道ばたや空き地に目を向けてみると、たくましく生きる雑草の姿を見ることができます。
冬は、ほかの季節に比べて雑草の種類が少なくなりますが、冬の雑草の多くは春に花を咲かせるために、寒い時期にしっかりとエネルギーを蓄えています。
今回は、冬に食べられる野草・雑草を3種類ご紹介。美味しく調理して、雑草のチカラをいただいてみませんか。
春の七草のひとつとして知られる「ナズナ」。花の下につく果実が三味線のバチに似ていることから「ぺんぺん草」という別名があります。「ぺんぺん」は、三味線を弾くときの擬音語です。
ナズナは、田畑や荒れ地、道ばたなどで見られ、古くから冬の食材として親しまれていたほか、薬草としても重宝されてきました。
食用としては、2〜6月の伸び始める前の若いものがおすすめ。おひたし、ごま和え、酢の物、天ぷらなどにして強い旨みを味わってみてください。
菜の花の仲間で、河川敷や空き地などに群生している姿をよく見かけます。春になると黄色い花を咲かせるので、見たことがあるという人も多いでしょう。
食用に向いているのは、花のつぼみと若葉で、炒めものやおひたし、漬物などにすると、辛子のような風味とピリッとした刺激を楽しめます。沖縄では「シマナー(島菜)」と呼ばれる伝統的な食材で、年間を通して栽培されており、種子は和辛子の原料としても利用されます。
ごつごつとした根はショウガのようで、花は黄色い菊に似ている「キクイモ」。名前にイモとついていますが、ジャガイモやサツマイモなどとは異なり、キク科ヒマワリ属の多年草です。
キクイモの原産地は北アメリカ。日本には江戸時代末期に飼料用作物として導入され、第二次世界大戦中から戦後にかけて、食糧として重宝されるようになりました。土の中に残った根からどんどん増えるほど繁殖力が高く、荒れ地や草地などで野生化。日本では野生化したものは「要注意外来生物」に指定されています。
キクイモは、でんぷん質をほとんど含まないので低カロリー。食物繊維“イヌリン”が豊富に含まれており、サプリメントにも使われています。世界三大健康野菜のひとつとされ、世界中で栽培されているほか、日本でも北海道から沖縄まで、全国各地で育てられています。
キクイモは鮮度が命。常温で保存できる期間は約1週間です。それを過ぎると、カビが生えたり、ひからびてしまうことがあります。スーパーマーケットなどで見かけることが少ない理由は、日持ちしないからかもしれません。
キクイモの収穫シーズンは11〜2月。食用にするのは、大きく育った根の部分です。味にクセがなく、サラダ、和えもの、炒めもの、焼きもの、煮物、スープ、揚げ物など、どんな料理にも活用できます。スライスして生のまま食べたり、さっと湯通ししたり、チップスなどの揚げ物にするとシャキシャキ食感が楽しめます。
岐阜県では、キクイモが「美濃・飛騨伝統野菜」に認定されており、粕漬けや味噌漬けが名物。山形県でも味噌漬けが有名です。
道の駅や農産物直売所などでキクイモを見かけたら、さまざまな料理に挑戦してみてください。