エスプレッソ店やシアトル風カフェで飲み物を注文するとき、サイズを尋ねられて困ったことはありませんか?
S・M・L・・・ならわかりますが、普通サイズは「トール」でいいんだっけ?「R」って書いてあるけど読み方は「アール」でいいのかな?そもそも「R」って何の略だ???・・・などなど。
今回はそんな飲み物・食べ物のサイズの名前の話です。
冒頭申し上げたようにS・M・Lはどういう意味なのか、何の略なのかはわかりやすいですね。
S=Small=小さい
M=Medium=中くらい
L=Large=大きい
です。
ハンバーガーチェーンの飲み物メニューはこの表記が一般的かなと思います。
S・M・Lという表記でなく、「SMALL」や「MEDIUM」と略さずに書いてあるお店もありますよね。
でもまれに「ビッグサイズ」と書いてあるお店もあります。
Big・・・普通より大きいことはなんとなくわかりますが、Largeとどう違うのでしょうか?
どちらも英語としては正しそうなので、両者がどう違うのか、ネイティブ英語スピーカーの知り合いに聞いてみました。
すると・・・
“Bigは単純に大きいという意味、Largeは何か別のものと比較して大きいという意味”
との回答。また、
“Bigのほうが砕けた表現で、Largeのほうは少し厳密な感じ”
との回答も得られました。
Bigという言葉は主観的に大きいという意味合いが強いようなので、例えば「このMサイズドリンクは(自分にとっては)Bigだ」という表現はありえますが、「このMサイズドリンクはLargeだ」という表現は正しくない表現、ということになるかもしれません。
SMLに次いでよく見かけるのは「R」というサイズ。一部のカフェチェーンのほか、ドリップコーヒーを提供するコンビニエンスストアでもこういう表記があるようです。
「R」はRegular=レギュラーの頭文字です。
日本語に訳すと「本来の」とか「正規の」とかいった意味ですね。スポーツでスターティングメンバーのことを「レギュラー」と言ったりしますが、それも同じ意味のようです。
「R」サイズは「M」の代わりに用いられることが多いようですね。「S・M・L」ではなく「S・R・L」のように。M=ミディアムだとお肉の焼き方のような気がするから・・・でしょうか???
でもこの「R」サイズ、ちょっと曲者です。
「S・R・L」なら「R」が「M」に代わって中くらいの大きさだとわかりますが、お店によっては「R・L」サイズしかないところもあるのです。この場合「R」は「S」と同じような意味になってしまいます。
さらにややこしいことに、最近までピザの大きさを「M・R・L」から選択するピザチェーンがありました。
「M」と「R」、どちらが大きいのかわかりづらいですね。このこともあってか、このピザチェーンでは最近サイズ設定を「S・R・L」に改めたようです。
もともとピザチェーンにおけるピザのサイズ設定は「M・L」であることが多く、「M」より小さなサイズの登場は比較的最近のことです。
そんな「M」より小さなサイズですが、「S」とするピザチェーンのほかに「P」としているお店もあるようです。
調べてみると「P」はPersonal=個人の頭文字だそう。
数人が集まって1枚をワイワイ食べるイメージのあるピザですが、ひとりで食べることを想定したサイズが「P」ということでしょうか。
シアトル風カフェでは「S・M・L」ではなく「ショート・トール・グランデ」というサイズ表記が一般的かもしれません。
「S・M・L」が食べ物や飲み物以外のもの、たとえば洋服などにも用いられることが多いのに対し、「ショート・トール・グランデ」はシアトル風カフェ以外では見かけませんよね。
それぞれの意味はこうなります。
「ショート」=Short=短い
「トール」=Tall=背が高い
「グランデ」=Grande=偉大な(イタリア語)
「ショート」は、量が少ないので短い時間でも楽しめるという意味でしょうか?それともカップの背の高さが短いという意味でしょうか?より大きなサイズが「トール」であることを考えると後者なのかもしれませんね。
英語がもとになっている「ショート」「トール」に対し、「グランデ」は急にイタリア語で、少し別格感があります。意味に加えて語感も語源も別格、ということなのでしょうか。
いずれにしても「ショート・トール・グランデ」はそのまま「S・M・L」に対応すると考えてよさそうです。
問題はここから。
シアトル風カフェの中には「Lサイズ」にあたる「グランデ」よりも大きなサイズを提供するお店があるのですが、その表記が定まっていません。
「ヴェンティ」=Venti=20(オンス。イタリア語)
と言ったり、
「エノルメ」=Enorme=巨大な(イタリア語)
と言ったりするのですが、一説にはどちらかが商標登録されていて、商標を持っているチェーン以外では使用できないだとか、隠しメニューなのであえてわかりづらくしているとかといった噂があります。
日本でもよく見かけるようになったイタリア発のエスプレッソチェーン。
ここのサイズ表記は「ピッコロ・クラシコ・グランデ」です。
これは難しい!「R」を曲者だと言っていた自分を責めたい気分になります。
「ピッコロ」=Piccolo=小さい(イタリア語)
「クラシコ」=Classico=典型的な、古典的な(イタリア語)
「グランデ」=Grande=偉大な(イタリア語)
「ピッコロ」は小さな横笛のピッコロと同じ語源のようですね。「クラシコ」は「R」=レギュラーとよく似た意味、「グランデ」はシアトル風カフェと同じですね。
イタリア発のエスプレッソチェーンでは「ピッコロ」より、小さなサイズの飲み物が提供されることがありますが、これは「デミタス」と呼ぶそうです。
「デミタス」=Demitasse=半分のカップ(フランス語)
急にフランス語になりました。
でもこの言葉がイタリアに輸入され、定着したのはだいぶ昔のようで、今ではイタリア語と呼んで差し支えないほど一般的に使われているようです。
以上、普段目にするメニュー表記は一通りご覧いただけたかなーと思います。
呼び方は違えど、基本的に「小さい・中くらい・大きい」なのだと覚えておけば、そんなに困ることはないかも!?
でも世の中にはまだまだ知らぬサイズ表記が存在しているかもしれません。なにか見かけたらぜひもぐらぼTwitterへのコメントなどでお知らせいただけると嬉しいです。
そういえば筆者の郷里・石川県金沢市には「Lカツカレーミニ」という人気メニューがありますね。果たしてLなのかミニなのか・・・?