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8月10日は「焼き鳥の日」。実は違う「焼き鳥」と「やきとり」。

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

8月10日は「焼き鳥の日」。実は違う「焼き鳥」と「やきとり」。

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

8月10日は「焼き鳥の日」。株式会社鮒忠の創業者であり、「焼き鳥の父」と呼ばれる根本忠雄により制定されました。「や(8)きと(10)り」という語呂合わせと、焼き鳥に合うビールが美味しい真夏の日ということが理由です。

鮒忠は、1941(昭和16)年、どじょう、うなぎなどの川魚店として開業。1946(昭和21)年には東京・浅草に看板を掲げ、フナやどじょう、ウナギなどの串焼きを販売していました。
その後、川魚が獲れない冬季に、鶏を串に刺した「焼き鳥」を販売したところ大ヒット。現在は川魚と焼き鳥を中心とし、関東エリアでFC店を含む約30店舗を展開しています。

なお、全国やきとり連絡協議会でも、同じ8月10日を「やきとりの日」としています。

「焼き鳥」といえば、鶏肉を串に刺して焼いたものというイメージがあります。しかし、「やきとり」と書かれたメニュー看板を見てお店に入ったら、「牛肉や豚肉だった」「串刺しではなかった」という経験をした人もいるのではないでしょうか。

じつは、「焼き鳥」と「やきとり」には違いがあります。

漢字で書かれた「焼き鳥」は鶏肉(内臓含む)、ひらがなで書かれた「やきとり」は、鶏肉以外に牛肉、豚肉や、それぞれの臓物を使ったものを指します。国語辞典で「やきとり」を調べると、「鳥の肉を串に刺してやいたもの/牛や豚の内臓を串焼きにしたもの」と書かれていることもあります。

ちなみに、エビやイカなどの海産物、玉ねぎやシシトウ、ミニトマトなどの野菜を串に焼いたものは「串焼き」と呼ばれることが多いようです。

弥生時代の初めごろ、日本にニワトリが家畜として伝えられましたが、食用かどうか、用途はわかっていません。以降は、鶏卵や鶏肉が食べられたり、飛鳥・平安時代の食肉禁止令で控えられるようになったりと、時代により扱いは変わりました。

ニワトリを串に刺した「焼き鳥」が販売された最初の記録は、江戸時代中期です。これが現在の焼き鳥の原形です。しかし値段が高かったため、庶民の口にはなかなか入りませんでした。明治・大正期までは、一般的に「焼き鳥」というと、スズメやカモ、キジといった野鳥を姿のままで焼く料理を指していたようです。

戦後まもない昭和20年代、鶏肉はまだまだ高価でした。いっぽう、鶏や牛、豚の臓物は美味しさが知られていなかったため、捨てられるか、タダに近い値段で取引されていました。

そのころ、鶏肉の端肉や牛・豚肉の臓物を小さく切り、串に刺したものが「やきとり」いう名前で登場します。

鶏肉の「焼き鳥」が食べられるようになったのは、昭和30年代です。アメリカから食肉専用の安価な鶏「ブロイラー」が輸入されたことにより、大衆向け飲食店や一般家庭に鶏肉料理が広まるようになりました。

全国には、地域独自の「ご当地やきとり」が数多くあります。

北海道室蘭市の「やきとり」は、豚肉とタマネギに甘辛いタレで味付けされており、洋カラシが添えられています。埼玉県東松山市では、豚肉のカシラ肉(こめかみから頬の部位)を、ピリ辛の味噌だれでいただきます。愛媛県今治市では、鶏皮を串に刺さずに焼く「鉄板焼き鳥」が名物です。

珍しい「やきとり」では、北海道釧路市はエゾジカを使った「阿寒やきとり丼」、福岡の博多や久留米市では、魚のシシャモを串に刺したものがあります。

実際には、鶏肉を使っているから「焼き鳥」、牛や豚、魚を使っているから「やきとり」と、分けられていません。厳密なルールが存在しないため、店名やメニューで「焼き鳥」「やきとり」を区別せずに使われているケースも多いようです。お店やメニューは、内容をよく見てから選ぶほうがいいかもしれません。

鶏でも、そのほかの肉や魚でも、こんがりと焼き上げられた「焼き鳥」「やきとり」は、みんな大好きですよね。夏まっさかりの8月10日「焼き鳥の日」は、焼き鳥を食べて、暑さに負けないスタミナをチャージしてはいかがでしょうか。