7月7日は「カルピスの日」。1919(大正8)年7月7日、日本で初めての乳酸菌飲料である「カルピス」が発売されたことにちなみ、「カルピス」の製造などをおこなう飲料・乳製品メーカーのアサヒ飲料株式会社が記念日を制定しました。
「カルピス」は生乳から脂肪分を取り除く→乳酸菌で発酵→酵母で発酵、と2回発酵させることで甘酸っぱい美味しさを実現しています。発売から100年以上たっていますが、基本的な作り方は同じというから驚きですよね。
今回は7月7日「カルピスの日」にちなみ、「カルピス」の誕生ストーリーと歴史、ネーミングの謎、水玉デザインの理由に迫ってみました。
「カルピス」の生みの親は、1878(明治11)年、現在の大阪府箕面市で浄土真宗本願寺派寺院の長男として生まれた三島海雲(かいうん)。
海雲は西本願寺文学寮で学んだのち英語の教師になり、仏教大学(現在の龍谷大学)に編入。入学後まもなく、大学から中国へ渡ることをすすめられ、1902(明治35)年、中国へ。教師を経て雑貨商の事業をおこないました。
海雲は仕事で訪れた内モンゴルで体調を崩してしまいます。そこで現地の遊牧民にすすめられて酸っぱい乳を飲み続けたところ胃腸の調子が整い、体が回復しました。その酸っぱい乳は、乳酸菌で発酵させた「酸乳」というものでした。
「酸乳」の美味しさと健康効果に驚きを受けた海雲は「美味しくて、体によい飲み物をつくって、人々の役に立ちたい」と決意。帰国後、「酸乳」の研究を重ね、「酸乳」をベースにした日本初の乳酸菌飲料を完成させました。
過去記事では、龍谷大学大宮学舎にて特別講義『「カルピス」の生みの親、三島海雲に学ぶブランドを通じた社会貢献』のレポートをご紹介しています。
乳酸菌飲料の商品名を考える際、海雲は「赤とんぼ」などで知られる作曲家であり音声学の権威である山田耕筰や、サンスクリット語の権威である渡辺海旭(かいきょく)に相談しました。ヨーグルトやチーズに近い食べ物「熟酥(じゅくそ)」の意味をもつサンスクリット語の「サルピス」も候補に挙げられていましたが、カルシウムの「カル」と「サルピス」の「ピス」を組み合わせた「カルピス」の音の響きが良いという理由で、「カルピス」に決まりました。
現在、「カルピス」は北米やアジアなど約30カ国で愛されています。「カルピス」は英文字表記では「CALPIS」ですが、英語がよく使われるアメリカ、カナダ、インドネシアでは「CALPICO(カルピコ)」と名前が変えられています。その理由は、「CALPIS」は発音すると別の意味に聞こえる可能性があるためだそうです。
「カルピス」のパッケージで印象的なのは、水玉模様ですよね。水玉模様は、発売から3年後の1922(大正11)年に採用されて以来、長きにわたり使われ続けています。「カルピス」が誕生したのが7月7日の七夕だったことから天の川の星をイメージしてデザインされています。
ちなみに、1922年の発売当初は、青色地に白い水玉模様で夜空にまたたく星をあらわしていました。1949(昭和24)年、爽やかさを伝えるため色を反対にし、白地に青い水玉模様になりました。
「カルピス」ブランドでは、現在は定番のほか、巨峰や白桃テイスト、糖質60%オフ、睡眠・腸活や免疫サポートといった機能をプラスした商品がラインナップされています。
7月7日「カルピスの日」は、「カルピス」の歴史を紐解き、天の川を眺めながらカルピスを楽しんでみるのはいかがでしょうか。希釈用「カルピス」を水で割るほか、牛乳で割ってラッシー風にしたり、牛乳とフルーツを入れて凍らせてシャーベットに仕立てたりとアレンジに挑戦するのもおすすめです。