インターンシップをきっかけに、期間限定でどんぶり専門店をオープンすることになった現役農学部生の久野智英さん、富田直暉さん、坂下了夫さんの3人。オープンに至る経緯から、実際の店の成果までを聞きました!
坂下:私と久野の2人が、農学部のインターンシップで和歌山県田辺市の秋津野ガルテンを訪れたことがきっかけです。「都市と農村地域の交流を楽しむための体験型グリーンツーリズム施設」なのですが、農業の就業体験を経験しました。
久野:この期間に田辺市のファンになりました!インターンシップが終わり、京都へ帰る前に、田辺市にあるシェア・ショップ「あさりや」に立ち寄ることにしたんです。築80年の邸宅をリノベーションして生まれたゲストハウス&シェア・ショップで、ゲストハウスのほかに、日替わりで店が変わる仕組みです。
坂下:ご飯を食べながら、「将来、2人で飲食店ができたらといいな」いう夢を語り合っていました。その会話をたまたま聞いていた「あさりや」マネジャーの川藤洋子さんが、「だったら、この店を貸すよ」と話しかけてくれました。
久野:その時は、「また連絡しますね」と告げる程度で店を出たんですが。
坂下:春休みを目前に控えたある日、久野から「そういえば、和歌山のシェア・ショップの話覚えてる?」と話しを持ちかけられて。すぐに、川藤さんに連絡を取って、企画店舗のオープンに向け動き出しました。そこに富田が加わり、本格的にプロジェクトがスタートしました。
坂下:地元(京都・伏見)の友達の実家が100年近く続く定食屋を営んでいて、そこの京風丼の味を再現しようと思いました。女将さんから丼のレシピを譲り受け、今回の専門店運営にあたって、自分好みの味にアレンジを加えました。
久野:どんぶりだけではなく、デザート・カクテル・コーヒーにもこだわりを持って提供しました。デザートとカクテルは、私が担当。将来は、実家の寺を継ぐつもりですが、週末はバーをやりたいと思っています。お菓子作りはもともと得意で、メニューは、現地で調達できる材料から考えました。デザートにもカクテルにも、和歌山産のオレンジを使用しました。カシスオレンジは、秋津野ガルテンのブラッドオレンジを使ってみました。
富田:コーヒーは私が担当しました。実家は魚屋なのですが、将来は魚料理を提供するカフェをはじめるのが夢で、現在もカフェで働いています。提供したコーヒーは、アルバイト先に助言をもらいながら、自分で豆のブレンドを行いました。
坂下:単純に「料理ができる男ってかっこいい」と思ったからです(笑)また、大学入学前は部活動で水泳をしており、スポーツと栄養は切り離せない関係であることを痛感していました。将来はスポーツ栄養士を目指していますが、今回の取り組みで、飲食店経営との間で気持ちが揺れています。飲食店をするなら、管理栄養士の知識を活かした健康思考の店や料理教室がやりたいですね。
富田:高校生の時にテニスの錦織選手の特集番組を見て、スポーツ選手専属の栄養士の存在を知り、栄養学に興味を持ちました。将来は、実家の魚屋で管理栄養士の知識を活かしていきたいと思っています。
久野:1日20人を予想して準備していました。6日間で106食売り上げることができたので、ほぼ予想通りの売り上げを達成することができました!
坂下:天丼用の天ぷらの揚げ加減が難しかったです。
富田:一度にたくさんの人が来たときなどは、特に手が回らなくなり、大変でした。
その後、「あさりや」が実施したシェア・ショップが発展し、大学生が店舗運営に挑戦する取り組み「たなべ大学」が、同じく田辺市で2017年9月に実施されました。起業を目指す大学生らが集い、研究成果や趣味を生かして出店しました。今までにない新たな人の流れを生み、市街地活性化に向けた取り組みとなりました。この取り組みは、今回3人が実践したどんぶり店の取り組みが発想の元になったそうです。
行動力と信念を持って行動を起こせば、大学生であっても周囲を巻き込んだムーブメントを起こせるといういい例ですね。