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食事の時間とお金を節約する「ごはんキャンセル界隈」から卒業しよう!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

食事の時間とお金を節約する「ごはんキャンセル界隈」から卒業しよう!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

2024〜2025年上旬、SNSやメディアで「ごはんキャンセル界隈」というフレーズが話題になりました。「ごはんキャンセル界隈」とは、食事を3食とらない人や、おやつを主食にする人たちを指す言葉です。規則正しく食事をとらない理由は、「食事や調理にかける時間とお金を節約し、趣味を優先したい」「とにかく面倒くさい」といったものがあるようです。

「ごはんキャンセル界隈」は、ミレニアル世代・Z世代といわれる20〜30代前半の若者に多いようですが、心身の健康が懸念されます。

今回はすぐに実践できる、食生活と食事習慣を見直すコツについての記事3つをピックアップ。時間やお金をなるべくかけず、健康的な食事をとる方法や食品の選び方もご紹介しているので、ミレニアル世代・Z世代だけでなく、仕事や家事で忙しい方や、子育てに励んでいる方にも知っていただきたい内容です!

食事時間11分の現代人に向けたソクラテスの教え

龍谷大学 政策学部の貴兄アニタさんが、学生ライターとして記事を執筆。農林水産省の調査によると、1回の食事時間は戦前が約22分だったのに対し、現代は約11分と半分に減っているのだとか。
「生きるために食べよ、食べるために生きるな」と説いたのは、古代ギリシャの哲学者、ソクラテス。

貴兄アニタさんは、「食事は、健康や美容のための手段と考える現代人が多いようですが、ソクラテスは“食事を食事として楽しもう”と伝えているのでは」と考察。幸せな人生を送るコツのひとつは、食事を楽しむことにありそうです。

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食事時間11分の現代人に向けたソクラテスの教え             

ひと工夫加えるだけでバランスが良くなるお手軽レシピ

龍谷大学短期大学部で小児栄養、食育、調理科学、食品機能学を研究されている野口 聡子先生が、お手軽かつ低予算、たんぱく質やミネラルなど栄養がしっかり摂れるレシピをご紹介。

ひとつは、インスタントラーメンにカットした野菜やツナ缶をプラスするアイデア。もうひとつは、豆腐の上に鯖缶、とろけるチーズなどを乗せて焼くだけのグラタンです。「食事も運動も無理しすぎず、できることから実行することが大切です」と、野口先生。どちらのレシピも、簡単にできるので、肩の力を抜いてトライしてみてくださいね。

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ひと工夫加えるだけでバランスが良くなるお手軽レシピ            

【がんばり過ぎない食育】これだけは知っておこう!食品選び「10のポイント」

男の子の母であり、ライター・食育インストラクターの石原 かんなさんによる「がんばりない食育」シリーズ。こちらの記事ではお米や野菜、魚の選び方のほか、「消費期限と賞味期限の違い」「無糖と砂糖無添加の違い」などを10個ピックアップ。

食品選びの正しい知識は、子どもの「食育」だけでなく、すべての人にとって役に立つはず。10個のポイントを参考にすれば、お買い物で迷うことがぐっと減りそうですよ。

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【がんばり過ぎない食育】これだけは知っておこう!食品選び「10のポイント」

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食事時間11分の現代人に向けたソクラテスの教え

学生ライター
龍谷大学で学ぶ学生たちが記事作りに挑戦します。

「生きるために食べよ、食べるために生きるな/Thou shouldst eat to live; not live to eat.」

これは、古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの言葉です。
ソクラテスは、人生の目的や幸福を追求する生き方を重んじよ、人生の目的や幸福を軽んじてまで生存を追求するな、という意味を込めてこの言葉を使いました。
翻って現代、食事に関して興味深いデータがあります。
農林水産省によると、「1回の食事の咀嚼回数と食事時間を調べた報告によると、戦前の食事は1420回噛み、約22分だったのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数、食事時間とも半分に減っている」とされています。https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics4_02.html
さすがにソクラテスが生きた古代ギリシャとの比較ではないのですが、少なくとも100年ほど前に比べ、現代人は食事をゆっくりととらなくなっているということが分かります。
最近、食に対する関心が高まっているとされ、テレビ番組やインターネットは食事に関する大量の情報にあふれていますが、一方でデータでは食事にかける時間が減っていることを示しており、これは一種の矛盾と言ってよいのではないでしょうか?
この矛盾の背後にあるものを読み解くためのキーワードは「義務感」ではないかと考えます。現代の食事やそのほかあらゆる事柄に付きまとう「義務感」と矛盾について、学生ライターの貴兄アニタが考察してみます。

1. 食事は「手段」なのか?

食事は健康の維持には欠かせないものです。食事がなければ生命が維持できないことはもちろん、心身を正常に保つためにはまず食事のことを考えねばなりません。
これはまったく正しいのですが、現代の食ブームには、健康づくりこそが目的であり、食事はそのための手段に過ぎない、というような極端な考え方がまかりとおる一面があるのではないでしょうか?
食事を減らしたり、わざと栄養に乏しいものを食べたりすることによってダイエットをしたり、食事もまともにとらず、サプリメントだけで体調を維持しようとしたり、そのような話はよく耳にします。
また、「こういった食生活をしていればあのモデルのようになれる」などという思いから、モデルさんの食生活をただ真似しているだけという人もいると聞きます。
こういった人は言い換えると、「痩せなきゃだめ」、「可愛くならなきゃだめ」という思いから自分にあう食事、食べたいと思うものを楽しみながら食べる食事ができなくなっていると言えるかもしれません。
ソクラテスのような古代人は(おそらく)サプリメントを用いず、通常の食事だけで体調を維持していたでしょうし、ダイエットなどのためにあまり気乗りしない食事を続けるといったことはなかったのではないでしょうか。
現代人が食事にかける時間を減らしていることの背景には、誰にでも当てはまるような健康づくりやダイエットこそが目的で、食事はそのための手段に過ぎないという考えがあるのではないでしょうか。
さらに言えば、手段に過ぎないものなのでできるだけ省略したほうが良いという考えもあるのではないかという気もします。
食事を食事として楽しむことの重要性をソクラテスは古代からわれわれに教えてくれているような気がします。

2.「学び」と義務感

何らかの目的を達成することが義務のように思え、義務感によってそれそのものの楽しみを感じづらくなっているものは、食事のほかにもありそうです。
例えば、「学び」です。
日本では中学校までが義務教育とされており、その後高校・大学などに進学し、高校・大学卒業後には就職が待っているというのが一般的な姿であるとされています。
この一般的な姿において、「学び」はこれを維持するための義務における手段のような位置づけになってしまっています。
その結果、大学受験後や就職後には学ぶことの意味を見出せず、勉強をやめてしまうことはおろか、今まで学んできたことを忘れてもしまうという人が多くいるのではないでしょうか。

世界幸福度ランキングNo.1に輝いたフィンランドでは、そうではないようです。
テストによる周りとの比較を行うことに重きを置くようなものはなく、それぞれ違う個性を持った個人の成長を重視する仕組みになっているそうです。大学の受験科目は自分で決めることができ、入学後は学年で分けられることなどなく、いかに「自主性」を持ち合わせて学びの場や社会に参加できるかが重要とされています。
その結果、大学卒業後にも勉学に励む人が多く、フィンランドでは、自分の学びたい時に、学びたいことを学ぶ「生涯教育」が強調されています。
なんだか食事の話に似ていますね。
食事が健康やダイエットという義務を果たすための手段になってしまっているように、進学や就職という義務を果たすために学ぶ、言い換えると進学や就職という目的がない状態での「学び」には意味がないかのような誤解がはびこっている恐れを感じてなりません。「学び」を純粋に楽しむことができるはずにも関わらず、です。
純粋に向き合えば楽しめるはずのものなのに、余計な「義務感」が邪魔をして楽しめなくなってしまうというものはほかにもありそうです。
旅行中の電車やバスでの移動はとても楽しいのに、通勤通学中の電車やバスが楽しくないのは何故でしょうか。行列中の時間を楽しむ人もいれば、苦痛に思う人もいるのは何故でしょうか。自分で決めたはずの進学先なのに、その進学先で学びたいと思って必死に勉強したはずなのに通うのが苦痛に感じたり、学ぶためでなく単位のために授業に出るようになったり・・・こういったことが起こるのは、行動そのものではなく、別のものの義務感によってそれをせねばならない気分になったときなのではないでしょうか。そういう意味では、宿題をしようとしていたのに親から宿題をしなさいと言われた時。掃除をしようとしていたのに親から掃除をしなさいと言われた時の感情もこれに似ているのかもしれません。

3.今日の食事を楽しみませんか?

せっかくの食事、せっかくの「学び」なのに、それが義務であるかのようにそのものの良さを味わうことができないのはとっても損なのではないでしょうか。
「義務感」を感じることなく、自分の芯を持った生き方をすることが、人生を楽しみ、得をするコツなのではないかと、私は思います。
みなさんもまずは今日の食事を楽しむことからはじめてみませんか?
「生きるために食べよ、食べるために生きるな/Thou shouldst eat to live; not live to eat.」

今回の執筆者
貴兄 アニタ(きあに あにた)
2002年生まれ。京都府八幡市在住。龍谷大学政策学部。環境や都市計画、町おこしなど、政策に関連する様々な分野に関心があります。地域公共人材になることが目標です。