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7月25日は「うま味調味料の日」。太宰治は味の素マニアだった!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

7月25日は「うま味調味料の日」。太宰治は味の素マニアだった!

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

7月25日は「うま味調味料の日」です。これは、東京帝国大学(現・東京大学)の池田菊苗博士が、グルタミン酸塩を主成分とする調味料の製造法に関する特許を1908(明治41)年7月25日に取得したことに由来します。この功績を記念し、日本うま味調味料協会が制定しました。

「うま味」を発見したのは日本人だった

「うま味」を世界で初めて発見したのは、池田菊苗博士です。留学先のドイツで、ドイツ人の体格と栄養状態の良さに驚いた池田博士は、「滋養のある粗食をおいしくすることができれば、日本人の栄養補給に貢献できるだろう」と考えるようになります。

帰国後のある日、妻が持ち帰った昆布を見て「昆布にはまだ解明されていないおいしさの成分があるのではないか」と着想を得ます。そして昆布だしを煮詰めて成分を分析する研究に没頭しました。

その結果、44歳の冬、昆布だしのおいしさの正体がグルタミン酸であることを突き止め、この味を「うま味」と名付けます。博士自身が「具留多味酸」と表記していたグルタミン酸はドイツで発見されていましたが、これが「うま味成分」であることを解明したのは池田博士による大発見でした。

1908(明治41)年7月25日には、「グルタミン酸塩を主成分とする調味料製造法」の特許を取得。翌1909(明治42)年には、うま味調味料として味の素が発売されました。この功績により、池田博士は「日本の10大発明家」の一人にも数えられています。

そもそも「うま味」って何?

「旨味/旨み」と「うま味」は、どちらも「うまみ」と読みますが、意味は異なります。

「旨味」「旨み」「うまみ」は料理のおいしさ全般を表す言葉です。一方、「うま味」は甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ5つの基本味のひとつを指す科学的な用語です。基本味とは、ほかの味を組み合わせても再現できない独立した味覚のことをいいます。

代表的なうま味物質には、次の3つがあります。

 

・グルタミン酸

…昆布、トマト、チーズなどに多く含まれる、アミノ酸系のうま味物質

・イノシン酸

…かつお節、煮干し、肉類などに多く含まれる核酸系のうま味物質

・グアニル酸

…干し椎茸などに多く含まれる核酸系のうま味物質

 

 また、母乳にはグルタミン酸が豊富に含まれているので、生後間もなく「うま味」を経験しているケースも多いのです。

さらに、グルタミン酸(アミノ酸系)とイノシン酸・グアニル酸(核酸系)を組み合わせると、うま味は単独の場合よりも強く感じられます。これを「うま味の相乗効果」といいます。昆布とかつお節を合わせてだしを取ると、より深い味わいになるのはこのためです。

うま味調味料とは、グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどを主成分とする調味料のこと。現在は、さとうきびなどの農作物を原料に、発酵技術を用いて製造されています。

世界は「うま味」に満ちている! 各国のうま味調味料

「うま味調味料」は日本で生まれた調味料ですが、うま味そのものは古くから世界各地の食文化に取り入れられてきました。

例えば、中国の豆豉(とうち)は黒豆を発酵させた調味料です。タイのナンプラーやベトナムのニョクマムは、小魚を発酵・熟成させて作る魚醤として親しまれています。また、イギリスのビーフエキス、アメリカのトマトケチャップやバーベキューソース、トルコのサルチャ(トマトを煮詰めて作るペースト)なども、うま味を活用した調味料の一例です。

 

1985(昭和60)年、ハワイで開催された国際シンポジウムでは、「UMAMI」という用語を世界共通で使用することが合意されました。これは、「うま味」を的確に表す言葉が他言語になかったため、日本語の「うま味」がそのまま採用されたものです。今では「UMAMI」は世界で広く通用する言葉となっています。

また、味の素をはじめとするうま味調味料は、現在100を超える国と地域で利用されています。主に各地域で生産される農作物を原料としており、アジアではさとうきびやキャッサバ、アメリカではトウモロコシ、南米ではさとうきびなどが使われています。

現在、メーカーは「化学調味料」とは呼んでいない

飲食店やスーパーマーケットなどで、「化学調味料不使用」という表示を見かけることがあります。しかし現在、うま味調味料の業界では「化学調味料」という呼称はほとんど使われていません。

「化学調味料」という言葉は、1960年代半ばにテレビの料理番組で特定の商品名と区別するために使われ始めたとされています。その後、「化学」という言葉から、人工的なものや体に良くないものといったイメージを持つ人も現れるようになりました。

例えば、味の素は、さとうきびやキャッサバなどを原料とし、発酵法によって製造されています。メーカー側は、「化学調味料」という呼称では製法や製品の特性を十分に表していないとして、1980年代以降、「うま味調味料」への名称変更を進めてきました。現在、「日本標準商品分類」や「日本標準産業分類」でも、「うま味調味料」という名称が用いられています。

また、うま味調味料の主成分であるグルタミン酸ナトリウムなどについては、日本では1948年に食品衛生法に基づく使用が認められています。海外でも米国食品医薬品局(FDA)や国連関連機関が安全性を認めています。

太宰治は、羊羹や饅頭にも味の素を振りかけていた

 

『人間失格』『斜陽』『走れメロス』などで知られる文豪・太宰治。繊細で陰鬱な作風のイメージとは対照的に、実際はよく食べ、よく飲む大食漢だったといわれています。また、うま味調味料の味の素を好んでいたことでも知られています。

 

太宰は「HUMAN LOST」の中で、

「私は、筋子に味の素の雪きらきら降らせ、納豆に、青のり、と、からし、添えて在れば、他には何も不足なかった」

と記しています。

 

また、作家の檀一雄は、太宰が丼に鮭缶をあけてのせ、大量の味の素を振りかけながら、

「僕がね、絶対、確信を持てるのは味の素だけなんだ」

と語っていた様子を著書に記しています。

 

さらに檀は、太宰が羊羹や饅頭、お汁粉にも味の素を振りかけて食べていたことを書き残しています。

うま味調味料を活用しよう

うま味調味料には、素材本来のおいしさを引き出したり、野菜の苦みやえぐみを感じにくくしたり、肉や魚が持つうま味を引き立てたりする働きがあるとされています。また、うま味を活用することで、塩分を控えながらも満足感のある味わいを実現しやすくなることから、減塩への活用も期待されています。

例えば、味噌汁や煮物に加えるとだしのような奥行きが生まれ、チャーハンなどの炒め物ではコクや深みを感じやすくなります。

7月25日の「うま味調味料の日」をきっかけに、世界共通語にもなった「UMAMI」の魅力や、私たちの食文化を支える「うま味」について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。