10月2日は「豆腐の日」。「10(とう)」「2(ふ)」の語呂合わせから、日本豆腐協会が制定しました。ちなみに、毎月12日も「豆腐の日」、11月12日は「良い豆腐の日」で、いずれも日本豆腐協会が制定したものです。
日本国内で、食べるために使われる大豆の量は約100万トンで、そのうちの約半分が豆腐に使われているのだとか。総務省による家計調査(2023年)によると、大豆加工品の購入金額のうち豆腐の割合は約39%。納豆の約33%を上回り、堂々の1位です。私たち日本人は、冷奴、味噌汁、豆腐サラダ、麻婆豆腐などで毎日のように豆腐を食べているのですね。
今回は、身近なのに意外と知らない、豆腐にまつわるエピソードを紹介します。
「豆腐」と「納豆」は、当てている漢字が逆なのでは? 納豆は発酵させているから「豆腐」、豆腐は豆を型に納めているから「納豆」という漢字が合っているのでは? という説を聞いたことがあるかもしれません。この説は、江戸時代から語られてきました。しかしこの説は誤りのようです。
実は、中国語で「腐」の字には「液状のものが集まって、固形状になったやわらかいもの」という意味があります。つまり「豆腐」は、「柔らかい豆から作ったもの」で、豆が腐っているというわけではないのです。
同じ理由で「乳腐」という言葉があります。これはヨーグルト状の乳製品のこと。豆腐は、乳製品の代用として大豆から作られるようになったと考えられているため、同じ「腐」という字が使われているというわけです。
豆腐の発祥は中国とされていますが、正確な起源はわかっていません。豆腐を示す文字が、中国の文献に最初に登場するのは965年の『清異録』。遅くとも唐代中期ごろには存在していたと考えられています。
日本への伝来は、奈良・平安時代で、遣唐使として中国に渡った僧侶が製法を持ち帰ったといわれています。最初は僧侶や貴族だけが口にできる高級な食べ物でしたが、室町時代に全国に広まり、江戸時代には庶民の食卓に定着しました。
江戸時代の豆腐ブームを象徴するのが、1782(天明2)年に刊行された料理本『豆腐百珍』です。煮る・蒸す・焼く・揚げる・炒める・生食と100種類の豆腐料理をまとめた本で、あっという間に大ベストセラーに。翌年には続編が発行されました。著者は、料理のプロではなく篆刻家(ハンコ職人)の文人だったというのも驚きです。
『豆腐百珍』は現在、現代語訳版で読むことができます。江戸時代の豆腐レシピに挑戦してみるのも一興です。
スーパーマーケットで豆腐売り場を見ると、さまざまな種類の豆腐が並んでいます。それぞれの特徴と使い分けを見てみましょう。
木綿豆腐
…豆乳を固めた後、重しで水分を絞り出したもの。ぎゅっと凝縮されているので崩れにくく、味がしみやすいのが特徴です。炒め物・煮物・麻婆豆腐など、しっかりした食感を活かしたい料理に向いています。
絹ごし豆腐
…水分を絞らず、濃い豆乳をそのまま固めたもの。絹の布で漉しているわけではなく、仕上がりが絹のようになめらかなことからこの名がつきました。冷ややっこや味噌汁など、繊細な食感をそのまま楽しむ料理に最適です。
充填豆腐
…豆乳を容器ごと密閉して加熱したもの。未開封なら1〜2か月保存できるので、ストックしておくと便利です。
ちなみに、卵豆腐・胡麻豆腐・杏仁豆腐は大豆を使わないため、豆腐の仲間ではありません。形と食感が似ているという理由で「豆腐」という名前がつけられています。
今や豆腐は「TOFU」として世界中に浸透。特に東南アジアでは揚げる、煮る、炒める、蒸すなどさまざまな調理法で日常的に食べられています。
フィリピンでは温かい豆腐にタピオカを組み合わせたデザート「Taho(タホ)」がストリートフードとして人気。ミャンマーでは、ひよこ豆やエンドウ豆を使った豆腐が主流なのだそう。日本の豆腐とは別の進化を遂げた「豆腐」が存在するのもおもしろいところです。
アメリカでは1975年、500種類の豆腐レシピ、豆腐の栄養、豆腐の作り方などを丁寧に記した書籍『ザ・ブック・オブ・トーフ』が出版されました。『ニューヨーク・タイムズ』が「西洋を豆腐の驚異に目覚めさせた」と評したことで、10万部を超えるヒットとなりました。これをきっかけに、豆腐は欧米で広まっていきます。
アメリカで豆腐が注目されている理由は、低カロリー・高タンパクの健康食品であること、そしてビーガン・ベジタリアン人口の増加にあります。
スーパーマーケットでは「Silken(絹ごし)」「Firm(固め)」「Extra Firm(特に固め)」とラインナップが充実。ステーキのように焼いたり、チーズや卵の代わりに使ったり、スムージーやデザートに活用したりと、豆腐を自在に食べているようです。
10月2日「豆腐の日」は、料理に合わせて豆腐を選んだり、海外のレシピを参考に珍しい豆腐料理に挑戦したりてみてはいかがでしょうか。豆腐の奥深い世界に触れるきっかけになるかもしれませんよ。