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大阪・関西万博でも世界の食が話題! 「中東グルメ」の世界を知る記事3選

Moglab編集部

Moglab編集部 取材スタッフ

大阪・関西万博でも世界の食が話題! 「中東グルメ」の世界を知る記事3選

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Moglab編集部 取材スタッフ

大阪・関西万博が開幕して約1ヶ月が経ちました。SNSでは大屋根リング、パビリオンの建物、展示のほか、世界各国のグルメが話題となっています。なかでも注目が集まっているのは、中東地域の珍しい食です。

中東料理の特徴は、豆や野菜、スパイスを多く使うこと、イスラム教を信仰する人が多いため豚肉やアルコールを避けていることが挙げられます。

2025 大阪・関西万博には、中東地域のうちUAE(アラブ首長国連邦)、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、ヨルダンの7カ国が出展しています。日本ではなかなか食べることができない現地の料理やお茶、スイーツに出合えるパビリオンもあり、万博訪問の目的のひとつとなっています。

今回は、中東地域の政治、歴史、文化を専門に研究する、龍谷大学の先生3名による、現地で体験した食事情のレポートをご紹介。イスラエル料理、トルココーヒー、イランの食文化の記事を読めば、中東グルメをもっと楽しめるはずですよ。

京都でイスラエル料理を楽しみ、中東の旅路に思いをはせる

龍谷大学 法学部 法律学科教授の濱中 新吾先生の専門分野は、中東政治論と比較政治学。

記事では、イスラエル、ヨルダン、レバノンを歩いた思い出とともに、現地の食を紹介しています。ヨルダンの首都・アンマンで食べた、炒めたバターライスに鶏肉をのせ、ヨーグルトソースをかけた料理「マンサフ」、豆の風味が効いたアイスクリーム「バグダーシュ」、レバノンの首都・ベイルートの生肉料理をピックアップ。

イスラエルの定番料理である、ひよこ豆をつぶした団子状のコロッケ「ファラフェル」は、京都で食べることができます。濱中先生によると、イスラエル本国と全く同じ味なのだとか。ぜひ食べてみたいですね。

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京都でイスラエル料理を楽しみ、中東の旅路に思いをはせる(前編)

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京都でイスラエル料理を楽しみ、中東の旅路に思いをはせる(後編)

イスラーム文化とコーヒーの密接な関係

イスラーム美術史を研究する、龍谷大学 国際学部 准教授の林 則仁 先生は、トルコをはじめとするイスラーム文化圏にしばしば足を運んでいます。

トルコのコーヒーは、コーヒー豆の粉をお湯で煮出し、粉が沈殿してから上澄みを飲むスタイル。林先生は、イスラーム社会でコーヒーが飲まれるようになった歴史についても解説。そもそもコーヒーは、修道者たちが神との神秘的一体感を得るための修行の一環として飲んでいましたが、しだいに街中で販売されるようになりました。現在では、コーヒーは自宅での歓待のシンボルとなっているそうですよ。

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イスラーム文化とコーヒーの密接な関係           

食材豊かな農業国! イランの食文化

龍谷大学 社会学部 准教授の椿原 敦子先生は、イランからアメリカへの移民と、イラン・テヘランの宗教儀礼を文化人類学の視点で研究しています。

記事では、イランの知られざる食文化にフォーカス。実は、イランは米やさまざまな野菜がとれる農業国。イラン人のソウルフードは、葉物野菜と豆類、羊肉などと一緒に煮込んだ料理「ゴルメサブジー」。葉物野菜の苦みと乾燥レモンの酸味がクセになる味わいなのだそう。
パラパラに炊き上げた、イランの長粒米(おこげ付き!)との相性も気になりますね。

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食材豊かな農業国! イランの食文化            

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京都でイスラエル料理を楽しみ、中東の旅路に思いをはせる(前編)


濱中 新吾 龍谷大学法学部法律学科教授

京都で味わえる中東料理

国際的な観光都市である京都には、海外の本格的な料理を楽しめる店が多い。中東政治論の演習を担当している私は、1年に一度ゼミ学生と中東料理をたしなむことがある。

上記写真の料理はファラフェルという。
イスラエル人たちはこれを「国民食(ナショナル・フード)」と呼んでいる。ちょうど日本人にとっての寿司のようなものだ。
丸いピタというパンは中が空洞になっている。ピタの端を開いて中にフムスというひよこ豆のペーストを塗り込む。レタスや赤キャベツと共に丸いコロッケ状の団子をいくつか放り込む。このボールがファラフェルだ。ひよこ豆と香辛料を混ぜてボールの形にして揚げたものをこう呼ぶ。テヒナーというホワイトソースのようなものを入れてもいいし、お好みでフライドチップスもぶち込む。
イスラエル国内を旅行すると、街のあちこちでファラフェル・スタンドを見かける。たいていのスタンドでは、羊肉を棒に刺して炙っている様子も見ることができる。ひよこ豆コロッケの代わりにそぎ落としたロースト羊肉を入れたものがシュワルマだ。こちらもスパイシーであり絶品だ。ファラフェルもシュワルマもイスラエルで食べるととても安い。ファラフェルは350円くらいだし、シュワルマでも500円くらいだ。
スタンドは狭くてカウンターの中に居る調理者は2人ぐらいだ。彼らにファラフェルかシュワルマか、どちらかを注文する。ピタに挟むサンドイッチスタイルにするか、皿に載せてプラスティック製のナイフとフォークで食べるかを選ぶことができるスタンドもある。中東に行くとどこでもそうだが、店主と客は掛け合いをする。レタスや赤キャベツ、玉葱などはショーケースに入っているから、ヘブライ語やアラビア語ができなくても注文は可能だ。
冒頭でも触れたように、ファラフェルは京都の出町柳で食べることができる。日本国内なので割高だが、味はイスラエル本国のものと全く同じである。京都にはイスラエル料理の他、トルコ料理の店とモロッコ料理の店があると聞く。イスラエルは移民国家なので、東欧や中東諸国からやってきたユダヤ移民達が持ち寄ってできたのがイスラエル料理なのだ。したがって品数もなかなかに豊富で、味わいもいろいろだ。日本人にとって食べにくいことはないと思うので、出町柳駅から高野川ぞいに北へ徒歩2分の「ファラフェル・ガーデン」でお試しあれ。

絶品「マンサフ」は複数人でわいわいと

モロッコ料理店を除くと、本格的なアラブ料理店は大阪や神戸に行かなくては楽しめないようだ。こちらの写真はヨルダンの首都アンマンで食べたケバブとマンサフである。

マンサフは炒めたバターライスに鶏肉をのせ、ヨーグルトソースをかけた料理であり、これまた絶品である。マンサフは家庭料理でもあるが、中東への旅行者なら本格的なレストランで食することが多いだろう。一人で黙々と食べるようなものではなく、数人で集まってわいわい言いながら食べるものだ。この写真を撮ったときは同行者が一緒だったのでわいわい言いながら食べた記憶がある。
普段の私のフィールドはイスラエル、それも西エルサレムやテルアビブといったユダヤ人が居住する都市なので、マンサフを食べた経験は少ない。またイスラエルにはたいてい一人で行くので、複数人とレストランに入ることはあまりない。日本と違い、中東や欧州だと一人でレストランに入る習慣がないせいか、現地で「お一人様」だとなかなか厳しいものがある。夕食を誰かと一緒にしないかぎり、イスラエル滞在中の夜、レストランに行くことはまずない。
「京都でイスラエル料理を楽しみ、中東の旅路に思いをはせる(後編)」へ続きます。

濱中 新吾
龍谷大学法学部法律学科教授
専門は中東政治論と比較政治学。主要な論文として “Sensitivity to Casualties in the Battlefield” Asian Journal of Comparative Politics 3(1), “Demographic change and its social and political implications in the Middle East” Asian Journal of Comparative Politics 2(1).などがある。2012年より日本比較政治学会理事。