滋賀県が推進する「しがのふるさと支え合いプロジェクト」の一環として、2024年に龍谷大学農学部食料農業システム学科は滋賀県高島市・在原集落と協定を締結しました。「しがのふるさと支え合いプロジェクト」は大学等と中山間地域が共同活動を行い、農山村の活性化を目的とするものです。龍谷大学では、食料農業システム学科の学生有志11名が在原集落内の農地で6種類のジャガイモを栽培し、学内販売会と学園祭でジャガイモを使った料理を販売するという「在原プロジェクト」を実施しました。今回は4名の学生に、在原プロジェクトに込めた想いと販売の経緯についてお聞きしました。
在原集落は、滋賀県と福井県との県境近く、中山間地域に位置しています。JR湖西線・マキノ駅からは車で約20分。茅葺屋根の古民家が建ち並ぶ、世帯数は20未満の小さな集落です。
在原プロジェクト担当教員の金子あき子先生からの「在原集落の魅力をたくさんの人たちに伝えてほしい」という呼びかけに、農学部 食料農業システム学科の4年生2名、3年生9名の計11名が集まりました。
糸岡 聖将さん(農学部 食料農業システム学科/3年生)
「私たちは1、2年生の時に、金子先生の講義でマーケティングや地域活性化の手法を学びました。私を含め多くのメンバーは学びの実践として地域貢献をしたいという想いがあり、在原プロジェクトへの参加を決めました。
私たちは、在原集落でのジャガイモの生産・加工・販売を通してマーケティングを実践すること、自然豊かな在原集落の住民の方々と交流を深めること、SNSで若い世代に在原集落の魅力を伝えることにより、在原集落の活性化に貢献することを目的に定めました。金子先生は講義の中でモノを販売するにはマーケティングの4Pが大切だとおっしゃっていました。4Pとは、製品(product)・価格(price)・流通(place)・プロモーション(promotion)のことです。私たちはジャガイモを栽培・加工・販売する上で常に4Pを意識しながら、目的に向かってこのプロジェクトを進めました。
在原プロジェクトをサポートしてくださった、在原集落で農業を営まれている福井さんとオンラインで初めてお話ししたのは、2年生の2月。福井さんからは『若い人たちの明るい声が地域で聞こえることは、住民たちの活力にもなるはず。学生の皆さんに思い切り楽しんで在原で活動をしてもらえると私たちも嬉しい』というお話もいただいていました」。(糸岡さん)
4月に在原集落でジャガイモの種芋を植え付ける作業が行われました。畑は25メートルプールくらいの広さで、栽培する品種はメークイン、男爵、キタアカリ、マゼラン、アルバン、インカのめざめの6種類です。5月には不要な芽を取り除く芽かき作業、草取り、土乗せをし、畑を手入れしました。
7月中旬はジャガイモの収穫と商品の試作のため、在原集落で合宿を行いました。福井さんは「7〜8kgほど収穫できれば成功」と話していたそうですが、実際に掘ってみると、30kg用の米袋に10袋分と大収穫でした。
在原プロジェクトリーダーの田原 宇央さん(農学部 食料農業システム学科/3年生)
「高校時代に調理師免許を取得しました。料理が大好きなので、食を通して地域の人たちや学生に喜んでほしいと思い、料理の試作を担当しました。
合宿では、崩れにくいメークインでじゃばらポテト、紫色のマゼランでポテトチップス、キタアカリでスマイルポテト、男爵で冷製スープの4品を試作。スマイルポテトは電子レンジで加熱し、つぶして片栗粉と顆粒コンソメを混ぜ合わせてから成型したのですが、成型にかなり時間がかかりました。冷製スープは、冷蔵庫で冷やす間に雑菌が繁殖しやすいことが課題となりました。出来上がったらすぐにスープの入った鍋を氷水入りの大鍋に入れて冷やし、菌の繁殖を防ぐ工夫をしました」。(田原さん)
ジャガイモを収穫後に学内販売会を行いました。販売したのは、合宿で試作をしていたじゃばらポテト、ポテトチップス、スマイルポテト、冷製スープの4品です。
井上 泰良さん(農学部 食料農業システム学科/3年生)
「購入者に様々な種類のジャガイモ料理を楽しんでもらいたいと考え、4品を販売しました。売り上げとしては上々でしたが、調理と提供に時間がかかり、行列を解消できなかったことが課題として残りました。そこで10月の学園祭ではポテトチップスのみを作ることに決めました。フレーバーはチーズ、コンソメ、バター醤油、塩、チョコレートの5種類、サイズはS、M、Lを用意して、購入者の方に選んでもらえるようにしました。
初日は学園祭の実行委員会から借りたコンロの火力が弱く、ポテトチップスが上手く揚げられなかったため、すぐに実行委員会に業務用のコンロを手配してもらうよう交渉しました。購入される方に注文札を渡すことで、店内を担当するスタッフ間の連携の混乱を防ぐこともできました。行列の解消に努めたことや、インスタグラムでの情報発信の成果もあり、両日とも完売し売り上げ目標も達成。たくさんの方に喜んでいただきました」。(井上さん)
大上 乃愛さん(農学部 食料農業システム学科/3年生)
「絵を描くのが好きで、在原プロジェクトでは農家や保健所の方々の間に入る連絡係のほか、チラシ、パッケージなどのデザインを担当しました。また、在原集落をイメージしたオリジナルのステッカーも作成。ステッカーは、インスタグラムのアカウントをフォローして商品を購入いただいた方へお渡ししました。
このプロジェクトは、たくさんの人たちに在原集落について知っていただくことも目的としています。私たちは畑作業の合間に住民の方たちと話をしたり、料理の試作品を食べてもらったり、秋の稲刈りに参加したりする中で、この地域の自然の豊かさや、住民の皆さんの温かさを深く知ってきました。こういった私たち学生が実際に感じた想いを込め、在原集落を紹介するパネルを作成。学内販売会と学園祭で、お店の周りで並んでいる時間に見てもらえるように展示をして、在原集落の魅力を伝えられるようにしました」。(大上さん)
11月19日、滋賀県庁で行われた「令和6年度 しがのふるさと支え合いプロジェクト 協定締結式」では、金子先生、学生4名、在原集落の福井さんが出席しました。
「三日月大造滋賀県知事は私たちのプロジェクトに大変興味を持たれ、ジャガイモ料理の工夫や、チラシ・パッケージのデザインを褒めていただきました。2024年度のプロジェクトは終了しましたが、在原集落の地域活性化のためにはまだまだできることがたくさんあると感じています。今後は仲間を増やし、在原集落への地域貢献を継続できればと考えています」。(田原さん)